伝説的なビンテージ・キーボードのコレクションArturiaのV Collectionがさらにパワーアップし、V Collection 6が誕生しました。ここでは新たに加わった4つのインストゥルメントを、パフォーマンス動画と共に紹介していきたいと思います。
新たに追加された4つの伝説的なキーボード
V Collection 5では17種類のインストゥルメントがパッケージされていましたが、V Collection 6では新たに4つのシンセとキーボードが加わり、合計で21種類ものインストゥルメントが用意されています。
- Buchla Easel V : セミモジュラータイプのシンセサイザー
- CMI V : シンセサイザー、サンプラー、シーケンサーなどを統合したDAWの元祖
- DX7 V : 1980年代に一世を風靡したFM音源のシンセサイザー
- Clavinet V : 鍵盤楽器のクラヴィコードにギターなどで用いる電気ピックアップを搭載したキーボード
V Collection 6には、パッケージに含まれる6,000以上のプリセット・サウンドを一括管理できるAnalog Lab 3も用意されており、自身で作成したサウンドのセーブやロードなども簡易的に行うことができます。
今までにない前衛的な音に出会えるBUCHLA EASEL V
シンセの開発において重要な役割を果たしたDon Buchlaによって、考案、デザインされたBuchla Easelは、1972年に発売され、セミモジュラーと呼ばれる構造を持つ最初の楽器の1つです。イメージした音を再現させるタイプのシンセではなく、触っているうちに面白い音が出来上がるといったタイプのシンセです。
このBuchla Easelをソフト化したBuchla Easel VをReason 10にプラグインして、そのサウンドクオリティに迫ってみましょう。ここでは、Dr. Octo Rexをバックトラックに、Buchla Easel Vのシーケンスパターンを変化させていきます。
Buchla Easel V特有の機能グラビティ・ユニバースは、ピンボールで遊ぶようにコントロール・ボルテージが可能で、ゲーム感覚で前衛的なサウンドを創造することができます。音の変化が自然に移り変わっていくBuchla Easel Vは、ドローン系の制作にも適していると思います。
加算合成による高度な音作りが可能なCMI V
1979年に発表され、80年代のエレクトロニックミュージックを席巻したFairlight CMIは、シンセサイザー、サンプラー、シーケンサーなどを統合しており、DAWの元祖とも言われます。当時1千万円以上という価格で、ライバル機Synclavierと共に高嶺の花とされていました。
このFairlight CMIをソフト化したCMI Vには、10個(オリジナルは8個)のスロットが装備されています。各スロットにサンプルやシンセを読み込むことができ、それらを加算合成してシンセサイズしたり、内蔵シーケンサーで演奏することができます。
まずは、内蔵シーケンサーでリズムパターンを作成。さらに、3つのサンプルと、最大32の倍音をコントロールするスペクトルシンセを加算合成して作成したリードの音色を加え、80年代ニューウェーブ風のサウンドを作ってみます。
CMI Vは、Art of NoiseやTrevor Hornに代表される80年代のサウンドが好きな人にはたまらない音色が、豊富に用意されています。
最もポピュラーなシンセをも凌ぐDX7 V
1980年代に一世を風靡し、ある意味もっともポピュラーなシンセとも言えるDX7。初音ミクの衣装はDX7がモチーフとなっていますし、JRの発車メロディーはDX7で作られています。今なおその功績を目の当たりにするDX7は、それまでのシンセとは異なるツマミ類がほとんどないフォルムと、手頃な価格(当時248,000円)で、爆発的な人気を博しました。
オリジナルの小さな液晶画面での作業に苦労した方も多いかと思いますが、DX7 Vはソフトならではの大きな画面で操作できます。複雑なエンベロープの設定なども追加されており、オリジナルを凌駕する幅広いサウンドを生み出すことができます。
ここでは、Dr. Octo Rexをバックトラックに、DX7 Vの多彩なプリセットから厳選したベースとパッドを録音。いくつかのパラメータと、DX7 V特有の機能モジュレーションマトリクスを使って、サウンドエディットしてみたいと思います。
数多くのミュージシャンが使用していたため、テレビの歌番組などでDX7を目にしたことのある人は多いと思います。往年のサウンドを彷彿とさせるDX7 Vは、FM音源特有のキラキラ系サウンドを求める人には特にオススメです。
アンプとエフェクトのコンボが魅力のClavinet V
1960年代から現在に至るまで、FunkやRock、プログレなどでも使用されるClavinet。スティーヴィー・ワンダーやビリー・プレストンをはじめ、そのファンキーなサウンドを一度は耳にしたことがあるかと思います。
オルガンやエレピなどと同様に、アンプやペダルエフェクターを組み合わせて音作りをするケースが多々有りますが、Clavinet Vではウィンドウ上のアンプとペダルエフェクターを含めた音作りが可能で、Clavinetだけでは表現しきれない、あの名盤のサウンドに近づけていくことができます。
ここでは、Clavinet V特有の機能ハーモニック・プロファイルを使いながら演奏し、アンプやエフェクターによる音色変化も試してみたいと思います。引き続きリズムトラックには、Dr. Octo Rexを使用しています。
ハーモニック・プロファイル機能を使うことにより、オルガンやエレピに近いサウンド、またベースのようなサウンドも作り出すことができます。電気回路までをも分析し、オリジナルを忠実に再現したClavinet Vは、本物志向の方も満足する音がします。
名機を知り、ネクストステップのサウンドへ
名機と言われる楽器に触れることで、音楽的に新しい視点を得ることができます。しかし、実際にオリジナルを演奏する機会に恵まれることも稀ですし、名機をモデリングしたソフトウェアにおいて、満足できるクオリティーを提供してくれる製品は、そう多くはありません。
そのような中で、TAE®(トゥルー・アナログ・エミュレーション)テクノロジーで、アナログ・シンセのサウンドを忠実に再現したV Collection 6の再現性、そしてサウンドクオリティーには目を見張るものがあります。さらに、V Collection 6に同梱されているソフトには、オリジナルには無い機能が備わっており、オリジナルを凌ぐサウンドを作ることも可能です。
歴史的な名機が21種類も入っているV Collection 6を手に入れることで、あなたの創造性は無限に広がっていくことでしょう。今回は、新たに追加された4つのインストゥルメントを紹介しましたが、その他のインストゥルメントについて知りたい方はV Collection 5の記事もご覧ください。
DAWに標準で付属されているソフトウェア音源から、ワンステップ上のサウンドを求めているクリエイターには、是非V Collection 6をオススメします。
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