創造性を生み出す最先端のサウンドをチャージ。『Reason 10』でお手軽トラックメイキング

バージョン9.5でVSTプラグインに対応して話題を呼んだReasonの最新版『Reason 10』がリリースされました。ここでは、Reason 10で新たに搭載されたシンセやインストゥルメント、そしてサンプルなどを使って、簡単なトラック制作にチャレンジしてみたいと思います。

新たに9つのサウンドを装備

Reason 10最大のトピックは、合計で9つにも及ぶ新しいサウンドの追加です。

  • シンセサイザー:Grain / Europa
  • インストゥルメント・デバイス:Klang Tuned Percussion / Pangea World Instruments / Humana Vocal Ensemble
  • アコースティックピアノ:Radical Piano
  • モジュレーション・デバイス:Synchronous
  • ドラムループとサンプル:Loop Supply / Drum Supply

なかでも、ウェーブテーブルを搭載し、波形自体にモジュレーションを適用可能なシンセサイザー”Europa“と、サンプルを細分化して多彩なサウンドバリエーションを実現できるグラニュラーシンセサイザー”Grain“には注目です。それでは早速、新たなサウンドを使ってトラックメイクしてみましょう。

トレンドを押さえたサンプルが生み出す旬なビート

Reason 10では、ドラムのサンプル集”Drum Supply“と”Loop Supply“が付属されました。キックやスネアなどの単体のサンプルが収録されたDrum Supplyは、MPCのように扱えるサンプラー”Kong“での使用に最適化されており、ドラムのループサンプルが収録されたLoop Supplyは、ループプレイヤー”Dr. Octo Rex“での使用に最適化されています。

KONG(左)/ Dr. Octo Rex(右)

それぞれのサンプルを聴いてみると、最近のダンスミュージックやポップスなどで使われているようなドラムサンプルが多数収録されています。ここではLoop SupplyをDr. Octo Rexにロードして、ドラムのパターンを制作してみます。

動画のようにDr. Octo Rexでは、ロードしたループサンプルが自動的にスライスされ、スライスごとのエディットが可能です。エディットしたドラムループは、”COPY LOOP TO TRACK“ボタンを押すだけでオーディオが書き出されるので、あっという間にドラムパターンが完成してしまいます。

Loop Supplyには、ジャンルごとのドラムループが豊富に用意されており、ちょっと手を加えるだけでクールなドラムパターンを簡単に作れます。ループ自体がダサければ、どう頑張ってもかっこいいドラムは作れませんが、いけてるサンプルが装備されているところにReasonのセンスの良さを感じます。

クリエイティブサウンドへの近道”Grain”

ここからは注目のシンセサイザーを使って、ウワモノを加えていきます。まずは、グラニュラーシンセサイザーの”Grain“。

サンプルの読み込み範囲や速度などを調整して音色を作成するグラニュラーシンセは、複雑な倍音成分が生成されるので、効果音やアンビエント系のサウンドなど、クリエイティブなサウンドの制作に最適です。ここでは、Grainを使ってパッドシンセのパターンを制作してみます。

グラニュラーシンセといえば難解なイメージがありますが、Grainは幾つかのパラメータをエディットするだけで、それっぽいサウンドが作れます。

また、動画で紹介したようにサウンドに影響を与えるパラメータのオートメーションを記録することで、サウンドに動きが加わり、よりクリエイティブなパターンを生み出すことができます。

パワフルさに落ち着きを併せ持つ”Europa”

次にウェーブテーブルを搭載したシンセサイザーの”Europa“でベースのパターンを制作します。Europaには、複数の波形リストが装備されており、この波形を切り替えるだけで多彩なサウンドを表現することができます。

動画で制作したベースも力強いですが、その他にもパワフルなリードシンセが多数用意されています。パワフルとは言っても、近年のプラグインシンセにありがちな派手さはなく、大人な落ち着きを感じるサウンドで、ハードウェアとも馴染みやすい印象です。

音楽に躍動感を加える”Synchronous”

最後にモジュラーエフェクトの”Synchronous“を紹介します。Synchronousには、フィルター、ディレイ、リバーブ、ディストーションが装備されており、独自のLFOカーブを描いてエフェクトの効果をモジュレーションさせることができます。

ここでは、Synchronousをエフェクトセンドに挿入し、Europaで制作したシンセのパターンにロールのようなリピート効果が加わるプリセットの”Repeat Builder”を使用してみます。

*動画の1分10秒くらいから、ここまで制作したパターンを並べた簡単な楽曲も挿入しています。

Synchronousの使用にはそれなりの知識が必要ですが、Synchronousを使いこなせれば、クリエイティブなサウンドを手軽に作れそうです。

創造性を生み出す最先端のサウンド

時代と共に音楽の流行りは変わりますが、その音楽を構成するサウンドのキャラクターも変化していきます。サウンド・キャラクターの変化については、ここ最近特に感じることですが、Reason 10に搭載された新たなシンセやインストゥルメントは、今求められているトレンドに対応したサウンドが強化された印象です。

しかし、流行りだけを追うのではなく、GrainやEuropa、そしてSynchronousのようなクリエイティブ志向のシンセとエフェクトも装備され、アップグレードにおけるバランスの良さを感じます。GrainとEuropaは、一見すると難しそうに見えますが、これまで筆者が触ってきた同様のシンセに比べても簡単に使うことができました。

以前に紹介したReason 9.5の記事で初めてReasonを使用して今回が2回目の使用なのですが、ハードウェアを扱っているかのような独特のUIとその操作感から、迷うことなく制作を進めることができました。やはりとても使いやすいDAWです。

そんなReason 10には、30日間無償のデモバージョンが用意されています。この機会にサウンドが強化されたReason 10を試用してみてはいかがでしょうか?手軽さを求めるクリエイターには特にオススメのDAWです。

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