• このエントリーをはてなブックマークに追加
ARTICLE

あなたのレコードプレーヤーは大丈夫?ターンテーブルの調整とメンテナンス

soundrope読者の皆さん、こんにちは。僕は今年になってからちょこちょこアナログレコードでDJするようになりました。レコードは見た目の通りの不安定なものですが、それを安定して再生させるのも一つの演奏に思えて面白いです。ただ、よく調整されていないターンテーブルに出くわすこともちらほら…

PCなどのデジタルオーディオは、野外パーティーなどの過酷な状況下でも安定して音が出せますが、それに比べてきちんと再生するには色々手間がかかるのがアナログオーディオの辛いところ。とはいえ、かけた手間の分何かしら返ってくるのが面白いところでもあります。

というわけで、今回はそのターンテーブルをちゃんと調整して良い音にしてみよう!というテーマです。題材には定番のTechnics SL-1200mk3Dを使いますが、他のターンテーブルでも大枠は同じだと思います。

ターンテーブルを徹底点検!

設置場所

まずはターンテーブルの設置場所の水平が取れているかを確認しましょう。水準器がベストですが、iOSアプリ(精度…)か水を少し入れたペットボトルなどで水平を測る方法もあります。

なお、設置場所が傾いているとレコード針が溝の偏った部分をトレースすることになり、左右のバランスが崩れます。以前、傾いた場所に設置して片方のチャンネルしか音が出ない場面を目撃したことがありますが、それを考えると以前の記事で紹介されていたレコードプレーヤー「Floating Record」すごいです。

回転する円盤=プラッター

円盤という意味のプラッターは、レコードを載せる大きく重い部品です。プラッターは真上に持ち上げれば抜けるので、内部に埃がたまっていたら清掃しましょう。淵の部分に小さな○がたくさんありますが、これは模様ではなく実際にプラッターが回転している速度を表示するストロボスコープ。

ピッチフェーダーの位置と実際のピッチがずれている場合がありますので、このストロボスコープでチェックしてみましょう。

SL-1200mk3は電源を入れるとストロボライトが赤く光ります。この赤い光りがストロボスコープにあたっている部分を見てください。ピッチフェーダーの位置を+6%にしてプラッターを回転させた時に、ストロボスコープがどのように見えているでしょうか?一番上の列が止まっているように見えたら正常です。

Technics SL-1200 MK3D #turntable #vinyl

soundropeさん(@soundropecom)が投稿した動画 –

この電源スイッチの右下に”+6% / +3.3% / 0 / -3.3%”と表記されているので、表記されている値の位置でも確認してみましょう。もしもストロボスコープが前に進んだり後ろに進んだりしている場合は、回転速度にムラがあります。

ピッチフェーダーで速度を調節

回転数を±8%の間で調節するフェーダーです。ハウスやテクノのDJは、2枚のレコードをピッチフェーダーで同じテンポに揃え、同時に再生しながらミックスします。そのため速度を調整するピッチフェーダーのコンディションと、テンポの揺れに繋がる回転ムラが少ないことが理想です。

一時期このフェーダーの可変幅を変えて実際のピッチが12%位まであがる改造が流行りましたが、元に戻すのが難しい上に故障や回転ムラの原因にもなります。もしもピッチが一致していない場合は、ターンテーブルのプラッターとカバーを外して内部のねじで調節できますが、自信の無い方は修理に出しましょう。

参考ページ:Technics SL-1200MK5修理レポ ーICチップ編ー

回転ムラがある場合は、本体内部を清掃したり、センタースピンドルに給油すると直ることがあります。センタースピンドルへの給油は、専用オイルTECHNICS SFW0010が発売されており、2000時間再生するごとに給油することが推奨されています。

レコード盤を擦るカートリッジ

次はレコード盤から音を拾って伝える部分です。まずはレコード盤の溝をひっかいて音を出すカーリッジ。今現在でも様々なメーカーから多くのカートリッジが発売されており、それぞれキャラクターや使い勝手が異なります。そのためカートリッジ交換による音質の違いを味わうのもレコードの楽しみ方の一つです。

OrtofonのDJ用のカートリッジ=Concordeシリーズのようにヘッドシェル一体型になっているカートリッジもあります。こうしたカートリッジはセッティングが簡単な上に針先がレコードのどこを再生しているのか見やすいため、DJ用途には人気があります。

Ortolan Arkiv

ヘッドシェル

ヘッドシェルとはトーンアームに装着してカートリッジを固定する部分です。その際、トーンアームとカートリッジの針の部分が一直線に揃うように装着しましょう。SHURE M44Gは定番カートリッジですが、このタイプのカートリッジをヘッドシェルに取り付けるのはちょっと大変です。

Shure M44G

参考ページ:今さら聞けない?!ヘッドシェルにカートリッジを取り付ける方法(SHURE M44G / M447編)

針圧の調整

カートリッジがレコード盤を再生する時に、針にどれくらいの重さを加えるかを針圧と呼びます。この針圧は針の飛びやすさや音質に関係してきます。一般的に針圧が軽いと針が飛びやすくなり、重くなると飛びにくくなりますが、重くしすぎるとダイナミックレンジが狭くなったりレコード盤が痛んだりします。

針圧は目盛りが表記されているバランスウエイトを回して調節

また、DJ用のカートリッジはスクラッチやバックキューイング(頭出し)に耐えられるよう耐久性がありますが、それ以外のカートリッジで同じ事をすると針を痛めることがあります。

針圧の調整は、バランスウエイトを回して針が宙にふわっと浮く状態にしてからセッティングを行います。

バランスを取ってトーンアームをふわっと浮かべる

セッティングの詳細は下記のリンクが詳しいです。針圧等のセッティング推奨値はカートリッジの取扱説明書にありますので、きちんと調べてから調整しましょう。

参考ページ:カートリッジの針圧調整・アーム調整編

また、針の先に埃が溜まっていることがあります。手でも取れますが、手の脂が針につくとよくないので専用のスタイラスクリーナーを使いましょう。

諸説あるアンチスケーティング

針圧の次は、アンチスケーティングを設定します。これは、レコードの回る力で針が内側に行こうとするのを、外側に力をかけることで相殺する機能です。トーンアームの台座右側にあるアンチスケーティングホイールを回して調整します。その数値については、針圧と同じに設定するという説からゼロでよいという説まで様々です。

アンチスケーティングホイールの左上にあるのは台座ロック解除レバー

メーカーのノウハウが生きるトーンアーム

トーンアームはメーカーによって直線だったりカーブしていたりして、その構造・形状・材質等がターンテーブルのキャラを決めるとも言われている重要なパーツです。社外品や、高音質を謳ったmk5G用のアームに交換している人もいます。

トーンアームで調整すべき箇所は高さです。アンチスケーティングホイールの左上にあるレバーでロックを解除し、ターンテーブルを真横から見て本体とアームが平行になるよう、台座の一番下のダイアルを回して調節します。また、SHUREのようにマニュアルに適正な高さの値が書いてあるものもあります。

一通り調整が終わったら試聴

ここまでの面倒くさい調整作業が終わったら、その成果を確かめるべくレコードを再生してみましょう。再生前にレコードも拭いておきましょう。

上手く調整できていると、低い針圧でも針飛びがしなくなり音質もクリアになっているのではないでしょうか。こうした作業は面倒くさいですが、きちんと調整するとその分見返りが来る所がアナログオーディオの面白いところであり、高度に情報化された現代には新鮮な感覚です。

ちなみに、レコード盤の溝は時間と共に幅が狭まってくるので、たまに再生してあげて溝を広げるとレコードが長持ちするそうです。ターンテーブルをちゃんと調整すると掃除をした後のような爽快な気分でレコードを聴けると思います。こういったアナログな趣味で秋の夜長を楽しみましょう。

さて、僕は10/30から11/1までベルリンで開催される「ミュージック・メイカーのためのサミット」Loopに行ってきます。音楽作る人達向けのフェスみたいな感じなのかと勝手に想像しています。ベルリンにいる皆さんタイミングあえば乾杯しましょう!

LOOPのウェブサイトをチェック

それではまた次回!

この記事をSNSでシェア!