レコードの音質に影響を与える要素はたくさんありますが、コレクターが最も気にする要素の一つに、スタンパーの質が挙げられます。スタンパーとは、レコードのプレス機に取り付ける金属製の凸版スタンパーのことです。(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
プレス機による約100トンもの圧力によりスタンパーは劣化していき、これがレコードの音質にも影響を与えます。レコードが最も一般的なメディアだった60年代〜70年代には、メジャーレーべルは1枚のスタンパーで10,000枚ほどのレコードをプレスしていました。
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レコード内周の無音部分には、何番目のメタル・マザーやスタンパーを使ってプレスされたレコードなのかを表すマトリックス番号が表記されています。この番号を見ると、そのレコードの素性を判断することができ、早期にプレスされ音質的に優れているレコードは「ホットスタンパー」と呼ばれ、コレクターを惹きつけます。
しかしホットスタンパーといわれるレコードは、本当に音質が違うのでしょうか?専門家によると、同じ期間に、同じスタパーで作られたレコードでも音質は異なるそうで、プレスされた国や機材、そしてエンジニアによっても違いが出ると語っています。
Led Zeppelinの2枚目のアルバム「Led Zeppelin II」は、最も有名なホットスタンパーの1つです。このアルバムのオリジナルプレスは、レコード会社の社長令嬢が使用していたプレーヤーの針を飛ばすほどの音量だったそうで、すぐに新たなプレスが行われたという逸話があります。現在でもLed Zeppelin IIのホットスタンパーは、高額で取引されています。
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もしかしたら、あなたのコレクションの中にもホットスタンパーが紛れているかもしれません。レコードのマトリックス番号に注目しながらレコードを聴いてみるのも面白そうですね。