パターンを作って組み合わせるだけ!DJ感覚でトラックを作れる『FL STUDIO』でDubstepを仕上げてみた

Windowsで音楽制作を行うクリエイターから大きな注目を集める FL Studio の魅力を探るこの企画もいよいよ今回がラスト。前回の「簡単な操作性で人気の FL STUDIO を使ってDubstepのベースとシンセを作ってみた」ではビーツに、ベースとリードのパターンを加えて Dubstep のトラックらしくなってきましたが、今回はこれらのパターンを使ってトラックを完成させます。

トラックをミックスするようにパターンを組み合わせられる

FL Studio では、ステップシーケンサーピアノロールを使って作成したパターンをアレンジする編集機能をプレイリストと呼びます。パターンをアレンジする前に、まずは前回作成したパターンを聴いてみましょう。

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このパターンは、ステップシーケンサーでこのように作られています。

ステップシーケンサーはパターンを作成するための機能なので、トラックを構成するには、このパターンをプレイリスト上に貼付けていく必要があるわけです。

要するに、ステップシーケンサーで複数のパターンを作って、あとはこのパターンをプレイリストに貼付けていくだけでトラックが完成してしまうと言うことです。DJのミックスっぽく作っていけるので楽そうですね。

パターンを貼付ける前のプレイリストの画面はこんな状態です。

それでは、空のプレイリストに、ステップシーケンサーで作ったビーツ、ベース、リードの個別のパターンを貼付けてみます。プレイリストへ貼付けるサウンドのパターンを選択して、任意のトラックをクリックするだけで、簡単に個別のパターンを貼付けることができました。

画像のように各サウンドごとに色分けもできるので、視覚的にも分かり易いですね。プレイリストで構成したトラックはこうなりました。

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多彩なエフェクトで手軽にトラックをミックスできる

トラックを構成したので、いよいよ最終工程のミックスを行ってトラックを完成させます。各サウンドのボリュームとエフェクターを使って、トラック全体のバランスを整えます。簡単なミックスですが、トラックとしてのまとまり感は出せるはずです。

ビーツの中でも印象的なハットとスネアのサウンドにもっと広がりを持たせたいのでディレイを加えます。FL Studio に搭載されているエフェクターを見てみると、豊富なエフェクターが搭載されていることが分かります。「EFFECTOR」と言う分かり易い名前のエフェクターを見つけたので、こちらを選択してみるとディレイやリバーブ、フランジャーなどの複数のエフェクターが搭載されています。いわゆるマルチエフェクターと言われるタイプのエフェクターで幅広い用途に対応してくれます。XYパッドが搭載されているのでコントロールも簡単ですね。

実際にハットとスネアに EFFECTOR のディレイを加えてみましたが、サウンドの明度とディレイのスピードと長さを簡単に調整でき、求めていたスウィートスポットをすぐに見つけることができました。EFFECTOR ならエフェクトの操作に慣れていない人でも安心して使えます。

次にキックのサウンドは、もう少し前に出したいので、コンプレッサーを使ってみます。コンプには、いかにもやってくれそうな名前の「Maximus」を使用します。コンプの調整を行うパラメーターが豊富に搭載されていて使い方が難しそうですが、安心してください。Maximus には各パラメーターが予め設定されたプリセットと言われるデータが搭載されています。

従って、このプリセットを使うだけで求めていた効果を得ることができるので、コンプの使い方に慣れていない人でも大丈夫です。このプリセットを調整してさらに最適な効果を得ることも可能で、そうやっていくうちにコンプの使用にも慣れていくはずです。今回キックに使用したコンプもプリセットを使用しています。

最後にキックとベースのサウンドをスッキリさせたいので、ベースに「Fruity Limiter」をコンプモードで使用し、サイドチェインと言う機能を使います。サイドチェインを使うことで、キックとベースのそれぞれのサウンドが干渉しなくなり、低音がスッキリ聴こえるようになります。

サイドチェインは Dubstep などのベースミュージックでは普通に使われる機能なので、ぜひ抑えておいて下さい。

Fruity Limiterを使用してサイドチェインしてみると、キックとベースに抑揚が加わりグルーヴ感が増しました。

これらのエフェクトを使用してミックスを行ったトラックはこちらです。ビーツ全体に躍動感が増した印象です。

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パターンからトラックを組み立てていく制作フローはとってもラクチン

全く使用方法が分からないところからスタートしたこの企画も、無事にトラックの完成までこぎつけました(笑)。使い方でつまづくこともなく比較的スムーズにトラックを作ることができました。実際に FL Studio を使ってみて、いいな〜と思うところはこんな感じです。

  • 搭載されているサウンドが派手過ぎず使い易い
  • ステップシーケンサーで簡単にパターンを作れる
  • 作成したパターンを貼り付けるだけでトラックを構成できる
  • 豊富なエフェクトで簡単にミックスできる

これらが、Windows で音楽を作る多くのクリエイターが FL Studio に注目している最大の理由だと感じました。FL Studio のパターンを作ってトラックを構成していくスタイルは、曲をミックスするようにDJ的な感覚でトラックを作れるので、特にクラブミュージックの制作に向いています。操作性もシンプルで分かり易いところもポイントです。音楽制作に必要な豊富な機能とそのクオリティを考えると FL Studio のコストパフォーマンスはとてもいいと感じました。なので、これから Windows でクラブミュージックを作ってみたいと言う人にとてもオススメなソフトなのは間違いありません。

FL Studio には、無料で試せるデモバージョンが用意されています。デモバージョンは日本語のヘルプが入らないのと、プロジェクトの保存ができませんが、FL Studio の機能を使うことができます。こちらのページでデモバージョンをダウンロードできるので、FL Studio の世界を体験してみたいと言う人はぜひチェックしてみてください!

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