ニューオーリンズのガレージファンク・ワンマンバンド「Quintron」。ナイトクラブを最高潮まで盛り上げるのは、彼が開発したオーロラのように光るビートボックス・アナログシンセ「Drum Buddy」を使ったライブパフォーマンスと人形使いの彼の妻「Miss Pussycat」によるステージ。そんな人気を集めるふたりは、「Quintron and Miss Pussycat」として、ニューオーリンズの伝説的なガレージ・ロックユニットとなり、世界の注目を集めました。
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しかし彼は、2013年のツアー中に末期ガンと診断され、残りのツアーをキャンセルせざるを得ませんでした。それでも病に立ち向かう気持ちと期待を込めて、新たなツアーを行った彼の心境が「The Guardian」に掲載されています。
「実はガンが分かって化学療法を始める前に、新たなツアーを決行したんだ。全てを忘れるため、友達を全員呼んで、ツアーに集中することで、ツラさを感じる時間を作りたくなかったんだ。そのツアーをIsle of Denial(ハリケーン・カトリーナで水害を受けなかった島の名前)と名付けたんだ。」
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今でもツアーを行っていますが、未だ予断を許さない状況にあるようです。
「先日のナッシュビルのライブは具合が悪すぎて途中で中止しなければならなかったんだ。。気取るわけじゃないんだけど、死ぬ直前までプレイしたいんだよね。」
ミュージシャンだけでなく、楽器の開発者としても優れた才能と20年以上の経験を持つQuintron。彼が開発したアナログシンセ・ビートボックスの「Drum Buddy」は、実験的なアーティストからの支持を集め、2009年にはニューオーリンズ美術館に展示されるほどでした。
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そして、2011年から新たなシンセサイザーのプロジェクトに取り掛かります。長年、気象を制御する機械の概念を音楽に活用できないかと考えていたQuintronは、気温や風、日光や雨に反応してサウンドが変化するシンセサイザー「Weather Warlock」を作り始めました。
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2013年に突然の病に襲われたQuintronは、「Weather Warlock」の開発に没頭し、それが奏でる癒やしのサウンドを聴くことで、その痛みから自らを開放できることに気付いたと言います。
「ただただ、美しい音を奏でて欲しかったんだ。最初はひどい音ばかりだったけど、徐々に良くなってきたね。今でも雷の時は良い音じゃないけど。でも夕暮れの時は調整しなくても驚くような音を出してくれるんだ。」
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その後「Weather Warlock」の開発を続けるなか、ナイトクラブでの活躍やこのようなミュージシャンの枠を超えた幅広い活動が認められ、芸術家への経済的支援を目的とする基金からオファーを受け、彼らはフロリダのキャプティバ島のアーティスト用居住スペースに1ヶ月間滞在しました。キャプティバ島は、Weather Warlockのサウンドを試すのに絶好の気候で、彼の病状にとっても大きな癒やしとなりました。この滞在は彼の人生を変えるほど大きな経験になったようです。
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キャプティバ島での滞在を終えニューオーリンズに戻ったQuintronは、ギターを始めました。そして「Weather Warlock」と共に即興バンドとしてツアーに出て、訪れる都市で地元のミュージシャンとコラボするようになりました。
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2014年にQuintronは、Weather Warlockが持つヒーリング効果を活かすため「Weather for the Blind」というオンライン・ラジオの放送を始めました。リスナーは24時間、ニューオーリンズの天気をサウンドとして聴くことができます。
このラジオが天気を体感できずに睡眠障害が起こる盲目の人達の役に立てばと彼は考えています。将来的にはWheather Warlockを世界各地に配置し、様々な国の気候から生まれるサウンドを届けたいと考えていて、これを実現させるためにWheather Warlockを設置するスペースを提供してくれる博物館や教育機関、企業などを募っています。
「これが万能薬だとは思わない。だけど今のオレに生きる目的を与えてくれたんだ。Weather Warlockの音はオレにとって本当に心地良くて、病気の痛みを忘れさせてくれるんだよ。」
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Quintronは現在も自らが開発したシンセサイザー「Weather Warlock」で療養しながら、「Weather Warlock」名義で精力的にライブ活動も続けています。
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そして今月、「Weather Warlock」名義でアルバム「Sunset Waits No Man」をリリースしました。このアルバムでは、彼が開発したシンセサイザーWeather Warlockのサウンドを聴くことができます。
Quintronは今、彼にとって「Weather Warlock」が音楽以上の存在であるように、人々にも良い効果を与えることを期待しているのです。
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引用元:The Gurdian