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GEAR

分解・加工から新たなサウンドを創り出すサンプラー搭載のシーケンサー Elektron『OCTATRACK』レビュー

ドラムマシンの銘機「MACHINEDRUM」を世に送り出したElektronが、その技術を集約させて作り上げたダイナミック・パフォーマンス・サンプラー「OCTATRACK」。
Elektronからの久しぶりのニュープロダクト、気になるクリエーターは多いはず。ということで、ハードウェア・サンプラーの新たな可能性を示してくれるOCTATRACKの魅力を紹介します。

柔軟なサンプルの取り込みに対応

ダイナミック・パフォーマンス・サンプラーと銘打たれたOCTATRACKは、平たく言うとサンプラー搭載のステップ・シーケンサーです。

音源として使用するサンプル素材の取り込みには、既存のサンプルをUSB経由でパソコンから取り込む方法と、外部音源をレコーダーでサンプリングする2つの方法があります。

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OCTATRACKには4つのインプット・チャンネルが搭載され、それぞれに接続した外部音源をレコーダーでサンプリングできます。レコーダーはシーケンサーで設定したBPMに追従し、あらかじめ「レコード・レングス」を設定することで、1小節や2小節などのループ素材を簡単に作製できます。

出典:YouTube

気になるサンプリングの音質はというと、、、やはりそこはハードウェア・サンプラー!ソフトウェア・サンプラーに比べると奥行き感のあるタイトなサンプルを作製できます。

さらに「サンプリング・ソース3」では、OCTATRACK内部のサウンドを選択できるので、外部から入力を行わずにリサンプリングすることも可能。音量と音質の変化を気にせずリサンプリングできるのはポイントです。

OCTATRACKの構造

OCTATRACKのプロジェクトは、16個のバンクから構成され、各バンクには、16個のパターンと4つのパートが含まれます。各パートは、サンプル、エフェクトのアサインとパラメーターの設定、16個のシーンから構成されています。

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パートは一般的なドラムマシンで言うキットのようなものです。よって、1つのバンクでは4つのキットを使用できるという概念になります。各パターンでは、8つのオーディオ・トラックと8つのMIDIトラックを使用できます。

サンプル素材の加工に最適なスライス機能

各オーディオ・トラックには、サンプルをアサインするための「マシン」として、内蔵RAMメモリーへサンプルをロードする「Flexマシン」と、コンパクト・フラッシュからサンプルをロードする「Staticマシン」をアサインすることができます。

OCTATRACKのサンプルのエディットにはスライス機能がオススメです。オーディオ・エディターのスライス・メニューで「CREATE SLICE GRID」機能を使用した場合、サンプルは自動的に最大で64個にスライスされます。

OCTATRACKのスライス機能は、サンプルにスライス・ポイントを作るだけなので、新たにサンプルが作製される訳ではありません。いわゆる非破壊編集なので、音の劣化もなく、メモリー容量の心配もいりません。

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上の画像では、サンプルが32個にスライスされた状態です。サンプル波形上に等間隔の32本のラインが表示され、32個にスライスされたことが確認できます。

出典:YouTube

サンプルのアサインに最適な2つの「CREATE LOCKS」機能

スライスしたサンプルのシーケンサーへのアサインには、「CREATE LINEAR LOCKS」機能がオススメです。この機能はスライスしたサンプルを1から順番にシーケンサーへ配置してくれる機能で、例えば下の画像のように16個にスライスしたサンプルを16ステップのトリガに順番にアサインしてシーケンスを作製してくれます。

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「サンプルをスライスせずに、そのまま再生させればいいのでは?」と考えてしまいますが、OCTATRACKには「パラメーター・ロック」と言うトリガごとにピッチを変更したり、レートを変更してリバース再生させたり、LFOをモジュレートさせたりと、個別のパラメータ設定を行える機能があるので、サンプルをスライスすることで1つのサンプルから複数のシーケンス・パターンを作製できます。

さらに、スライス・メニューから「CREATE RANDOM LOCKS」機能を実行すると、スライスされたサンプルがトリガにランダムにアサインされ、自動的に複雑なシーケンス・パターンを作製してくれます。お気に入りのパターンが作製されるまで何度でもお試しください!

OCTATRACKはサンプル素材を扱う場合には必要不可欠なタイムストレッチも自動で行ってくれるので手間いらず。その精度は非常に高く、サンプルのオリジナル・テンポから±20くらいに変更しても違和感はありません。

出典:YouTube

シーン機能でドラマチックな展開を

最後にOCTATRACKのもう1つの特徴として挙げられる、シーン機能について。シーンとはロックされたパラメータ・バリューの集合体で、OCTATRACK本体の中でもひと際存在感を放つクロスフェーダーにアサインすることができます。

各パートで16個のシーンを作製できるので、作製した16個のシーンを任意でシーン・スロットAとBにアサインしてクロスフェーダーを動かすと、モーフィングのような効果を得られます。

シーン機能を使用したリサンプリングにより、簡単に新たなサンプル素材を作成できますし、何と言ってもライブで最大の効果を発揮してくれます。

出典:YouTube

OCTATRACKの可能性

OCTATRACKのシーケンサーは非常に優秀で、MIDIに対応した音源やエフェクターをOCTATRACKからコントローラすることでき、このコントロールをシーケンサーに記録することもできます。

またオーディオ・インプットへ外部音源を接続してOCTATRACKのエフェクターをかけて出力するなど、ライブ・パフォーマンスのハブとしてもその能力を発揮します。

出典:YouTube

OCTATRACKはサンプルを積極的に分解・加工して新たなサウンドを創りだしたり、シーン機能により劇的な展開を創りだしたりと、クリエーターのイメージを軽く超えてくれるツールです。

使い方によってあらゆるジャンルに対応しますが、特にテクノ、ダブステップ、エロクトロニカなどのより前衛的な音楽を制作するクリエーターにとっては最強の武器となると思います。

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