Native Instruments(以下、NI)製品を軸に音楽好きが集い、それぞれの知識や情報を共有することで、音楽制作のアイデアや新たな仲間との出会いを提供するコミュニティ「NATIVE MEETUP: TOKYO(以下、NATIVE MEETUP)」。この第一回目のイベントが、6月10日に祐天寺のMusic bar & studio Apt.で開催されました。
ここでは、初開催となったNATIVE MEETUPのイベントレポートを、ゲスト出演したUtaeさんのインタビューを交えて紹介します。
誰でも気軽に楽しめるコミュニティ
定員20名の少人数で行われたNATIVE MEETUPでは、ゲストのUtaeさんを囲むように椅子が配置されていて、出演者と参加者の距離が近く、出演者の手元までしっかり見えます。また、イベント出演者と参加者による自己紹介でイベントがスタートするなど、その場にいる人たちがコミュニケーションを図りやすい環境づくりがなされていました。
自己紹介で場が和んだ後は、UtaeさんのMaschine Jamワークショップ『身近な音が音楽に!?みんなで作ろうサンプリングビート!』がスタート。参加者が身近な物を叩いて発した音や声のサンプリングからトラックを制作するという、来場者参加型のワークショップでは、ソファーを叩いた音からキックを作ったり、手を叩いてクラップを作ったりと、その場でサンプリングした音からビートメイキング。さらに、カリンバや鉄琴、リコーダーなどの生楽器のサンプリングからメロディーパターンを作成し、わずか30分ほどで曲が完成。
最後に、完成した曲にAbleton Live(以下、Live)のルーパーエフェクトを使ってUtaeさんのボーカルを重ねてライブパフォーマンス。普段あまり見ることのないサンプリングにフォーカスした内容で、Maschineの新たな可能性を知ることができました。
メーカー主催のイベントでは、主催メーカーの製品のみを使用することがほとんどですが、今回UtaeさんがMaschineとLiveを併用したように、NI製品以外を使用したよりリアルな使用例を知ることができるのは、NIユーザーが主催するイベントならではといった感じです。
それではここからはUtaeさんに、Maschineのお気に入りのポイントやイベントの感想などを聞いてみたいと思います。
作曲のきっかけは多重録音
ーーまずはUtaeさんについて少し教えて欲しいのですが、普段はどのような活動をされているのですか?
作曲や自分のミュージックビデオを作ったり、たまにモデルをやったりといった感じです。
ーーMVも自分で作るんですね。これまでの作品のMVもですか?
とりあえず、自分でできる範囲のことはやろうと。ティザーも含めて、全て自分で作りました。
ーーマルチに活動されていますが、どのようなきっかけで音楽を始めたのですか?
もともとエンヤがすごく好きで、その影響から多重録音に興味を持ちはじめて、声や音を重ねてみたいなと思ったんです。それでPCにボイスレコーダーをたくさん立ち上げて重ねて録音していました。
ーーいきなり多重録音から入ったんですか?
エンヤの曲が多重録音で作られていることは知っていたんですが、その時はまだ小学生だったので、録音するツールを持っていなかったんです。中学生になってからPCを買ってもらったんですが、これにボイスレコーダーをいっぱい立ち上げればいいんじゃないかって閃いて、それからですね。
ーー実際に曲を作り始めたのはPCを手にしてからということですか?
小さい時からピアノはやっていたんですけど、作曲はPCを買ってもらってからですね。声の録音用にPCに入っていたボイスレコーダーをいくつか立ち上げて録音して、それにキーボードのドラムの音などを足したりしていました。音はすごく悪かったんですけど、楽しかったですね。
ーーエンヤ以外に影響を受けたアーティストはいますか?
ロックにはまってた時期があって、ミドリや神聖かまってちゃんみたいなガチャガチャした音のバンドが好きで、その影響でエレキギターを始めました。エレクトロニカは、Moshimossさんの曲を聴いた時に、こんな綺麗な曲があるんだと思って、それからですね。
ーー流れとしては、エンヤきっかけ、ロック経由のエレクトロニカといった感じなんですね。1stアルバムからも、そのようなバックグランドが理解できます。
そうですね。のらりくらりと、いろんなジャンルを取り入れています。意図せずではありますが。
ーー普段の作曲ではイメージ先行というよりは、こんなのできちゃったという感じですか?
イメージすることはあるんですけど、最終的にイメージ通りになっていないパターンが多いので、なりゆきですね。
サンプリングで広がる音楽の可能性
ーーワークショップでは、カリンバや鉄琴、リコーダーなどの楽器を使っていましたが、普段の制作やライブでも使われるんですか?
最近はそうでもないですけど、かなり前に作ったエレクトロニカのEPではだいぶ使いました。
ーー今回のワークショップで行ったような、エアー録りした音も使って作曲されているんですね。
マイクで楽器の音をLiveに録音して編集したものを演奏したりして、最後にボーカルを乗せてまとめ上げる感じです。
ーー主にLiveを使用されているかと思いますが、Maschine Jamはいつ頃から使っているんですか?
使い始めて2ヶ月くらいだと思います。まだまだビギナーです。
ーー2ヶ月であれだけ使えるのは凄いですね。
Maschine Jamはソフトとコントローラが一体になっているので、ハードウェアのようにコントロールできるのが良いですね。ただ何よりも、見た目がかっこいいし、色が可愛いからテンションが上がります。
ーーLiveを使われているということは、Maschine JamをLiveのコントローラとして使ったりもしてますか?
そうですね。でもこれからは作曲でMaschine Jamをどんどん使って慣れていって、最終的にはライブやDJでも使いたいと思っています。
ーーワークショップは、参加者の声などをサンプリングして、その音から曲を作るという無茶ぶりな企画でしたが、実際やってみていかがでしたか?
ワークショップの時間も限られていたのであまり多くのことはできませんでしたが、普段の作曲ならサンプリングを使ってもっといろんなことができそうなので、楽しそうだなと感じました。
ーーMaschineでサンプリングしてみて、使い勝手はどうでしたか?
Maschineはサンプリングした音がパッドに自動的に割り当てられてすぐに使えるので、それが良いなって思います。サンプルがアサインされたパッドはカラーリングされるので、とてもわかりやすいですね。
ーーその他にMaschineのお気に入りの機能はありますか?
やっぱり、タッチストリップを使った演奏ですね。スケールやコードを設定できて、決めた音階で演奏できるというのがグッときますね。
ーータッチストリップを使った演奏は、ワークショップでも最大の盛り上がりでしたね。サンプリングしたカリンバや鉄琴のサンプルを、タッチストリップで演奏されていましたが、とても綺麗な音色でした。
ドリーミーな感じでしたね。
ーー他にはありますか?
あとはステップ入力ですね。Maschine Jamだとボタンを押してノートを入力できるので、サクッとパターンが作れます。ボタンを押すと楽しいし、押し心地も良いですよね。
ーーUtaeさんのお気に入りのポイントは、Maschine Jamならではですね。今回初めて開催されたNATIVE MEETUPに出演されたわけですが、イベントの雰囲気はいかがでしたか?
すごく良かったです。会場にいるみんなの自己紹介から始まって、あれで壁が壊れた感じがしました。重い空気のままだったら、どうしようみたいな感じになっていたと思います。
ワークショップ終了後のフリータイムでは、お客さんから普段の制作工程とか、制作スタイルについて色々と質問を受けたりして、とっても良い雰囲気だったと思います。
ーーありがとうございました。次はMaschine Jamを使い込んで、さらにパワーアップしたUtaeさんのワークショップを楽しみにしています。
音楽仲間が増えるフリータイム
ワークショップ終了後には、イベントのもう一つの目玉、フリータイムがスタート。若手クリエイター集団TREKKIE TRAX所属のアーティストandrewによるDJをバックに、参加者や出演者がお酒を飲みながらフリートーク。
気軽に楽しめるリラックスした雰囲気と音楽が好きという共通項からか、初めて出会った参加者同士がすぐに打ち解け、会話が弾む光景はとても印象的で、大盛況のうちにイベントは終了。あっという間の3時間でした。
製品の使い方だけを説明するお堅いセミナーではなく、誰でも気軽に楽しめる環境が整ったNATIVE MEETUPは、終始ゆるい空気に包まれていて、初心者やNIユーザー以外も気軽に参加できるイベントです。
今後も定期的に開催されるNATIVE MEETUP関連の情報については、FacebookのNATIVE MEETUP: TOKYOのグループでチェックできます。気になる方は、NATIVE MEETUP: TOKYOのグループに参加して情報をゲット!
NATIVE MEETUP: TOKYOグループページをチェック
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