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CULTURE

1930年代のソビエトで映画の効果音に使われていたシンセサイザーとその斬新な再生方法

映画には欠かすことのできない効果音。現代の映画には、シンセサイザーから作られた効果音が多用されていますが、1930年代にはこのサウンドを使用したトーキー映画がすでに存在していました。まだ音声を合成する技術が確立されていなかった時代に、これを可能にしたシンセの斬新な手法とは?この開発に関わった3人の人物が、海外メディアの「Dangerous Minds」で紹介されています。

トーキー映画をヒントにしたシンセサウンド

1929年にソビエト初のトーキー(音声が同期した映画)「The Five Year Plan for Great Works」が製作されました。このトーキーの音と映像のシンクロの可能性は作曲家のArseny Avraamov、アニメーターのMikhail Tsihanovsk、そしてエンジニアのEvgeny Sholpoの3人の先駆的人物に影響を与えます。彼らは光学式のサウンドトラック(フィルムに画像コマとは独立して設けられた音声用トラック)のループ曲線、弧、波形に魅了され、フィルム上に直接図形を手書きすることで、シンセサウンド(複数の音を合成したサウンド)が生み出せると考えました。

そして1930年にArseny Avraamovは、手描きによるシンセサウンドを用いた初めてのショートフィルムを製作しました。

出典:YouTube

光学式シンセサイザーVariophoneの誕生

1932年にエンジニアのEvgeny Sholpoは、Rimsky Korsakovと共同でシンセサウンドを生成するために「Variophone」を開発しました。Variophoneは「オーナメンタルサウンド」と呼ばれるシンセサウンドを作るための紙製のディスクをカッティングして、これをセットして回転させることで、連続的にシンセサウンドを作り出すことができまたようです。Variophoneで作られたサウンドは、ファミコンのゲーム音楽のようなものでした。

出典:YouTube

1935年に撮影された映像には、Evgeny SholpoがVariophoneを使用して作業を行う風景が映し出されています。

出典:YouTube

図形によるシンセサウンドの発展と衰退

Variophoneで用いられたカッティングペーパーのアイデアを発展させた人物にNikolai Voinovがいます。彼の手法は、厚紙に図形を描き、これをカッティングしてシンセサウンドを作り出すものでした。彼はこの手法であらゆるピアノのメロディーを好きなようにつくりだすことができたそうです。彼は自身のショートアニメーション作品の「Rachmaninov Prelude」や「The Dance of the Crow 」などでこの技術を使用しています。

出典:YouTube

Nikolai Voinovと作曲家のArseny Avraamovは、シンセサウンドの開発を進めるためにモスクワに研究所を開設しました。しかしこの研究所は1年以内に閉鎖され、それ以降図型を用いたシンセサウンドは影を潜めていきます。そして世界では、Hammond社の「Novachord」が発売され、初期のシンセサイザー時代を迎えることになります。

現代の映画ではシンセサイザーを使用して音を加えることは一般的ですが、1930年代の映画にシンセサイザーが使われていたのは驚きですね。彼らが開発した手法は、スタンダードにはなり得ませんでしたが、このような先駆者による挑戦が現代的なシンセサイザーの誕生とその後の技術の進化に影響を与えたのです。

引用元:Dangerous Minds

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