パソコンの進化やiPadなどのタブレットの登場により、音楽制作環境の省スペース化が進んでいますが、この制作環境の変化に合わせた、コンパクトなハードウェア機材も多数リリースされています。
この現代の音楽制作環境に対応したデスクトップ・サイズのアナログ・ベース・シンセサイザーとしてMoogがリリースした「MINITAUR」。これまでのMoogのイメージを覆す小さなボディから、太くて迫力のある、あのMoogサウンドは表現できるのでしょうか?
TAURUSシリーズの遺伝子を継承した2つのVCOを搭載
MINITAURは、アナログ・ペダル・シンセの「TAURUS I」や「TAURUS III」の遺伝子を継承しており、TAURUSベース・ペダル・シンセサイザーの心臓部を取り出して使い易くコンパクトにまとめたモノフォニック・アナログ・ベース・シンセサイザーです。
MINITAURには2つのVCO(ボルテージ・コントロールド・オシレータ)、モーグ・ローパス・フィルター、2つのエンベロープ・ジェネレータ、そしてモジュレーション回路が搭載されています。
2つのVCOではそれぞれノコギリ波と方形波の2つの波形を選択でき、 オシレータ1はマスター・オシレータとして、オシレータ2はチューニングの基準として、6オクターブの楽音(最高ピッチはC4)を発生できます。
オシレータ・コントロール・パネルに搭載の「VCO 2 FREQ」ノブでVCO1に対するVCO2の周波数オフセットを設定し、「FINE TUNE」トリムで両方の周波数を同時に調整できます。
2つのVCOで発振させた信号は「MIX」ノブで、各オシレータのミックス・レベルを設定できます。
ベース・サウンドに特化したローパス・フィルター
MINITAURのフィルターにはベース・シンセに特化したClassic Moog 24デシベル/オクターブのローパス・フィルターが搭載されています。「CUTOFF」ノブではローパス・フィルターのカットオフ周波数を20Hz-20KHzで調整でき、「RES」ノブではカットオフ周波数付近を調整してピークを生じさせます。
「EG AMOUNT」ノブではフィルター用エンベロープ・ジェネレータがフィルター・カットオフ周波数を変化させる量を調整できます。EG AMOUNTノブの設定により、良くも悪くもサウンドが劇的に変化するので、CUTOFFノブとの相対的な調整をオススメします。
出典:YouTube
ソフトシンセやマルチティンバーのハードウェア・シンセサイザーでは、カットオフ周波数を80Hz以下にした場合に存在感が薄れてしまい、楽曲中でベースが埋もれるような感覚があったのですが、さすがはMoogのローパス・フィルター。80Hz以下でも、その存在感は別格です。
モジュレーション効果を加えて動きのあるサウンドに
MINITAURのモジュレーションにはVCOとフィルターを変調するためのLFO(ロー・フリーケンシー・オシレータ)が搭載されています。「LFO RATE」ノブではLFOの周波数の調整、「VCO LFO AMT」ノブではVCOのピッチを変調する量の調整、「VCF LFO AMT」ノブではフィルターのカットオフを変調する量を調整します。
「LFO RATE」ノブを効果的に使用することで、Dubstepで聞かれるようなベースのピッチが可変する楽曲の制作も可能です。最近ではポップスでもこのようなベースを取り入れたものがありますが、MINITAURを使用したベースはえぐいですね。
エンベロープで音色を調整
MINITAURにはフィルター・カットオフ周波数とアンプのそれぞれの発音時間に変化を与える2つのエンベロープが搭載されています。それぞれは、Attack、Decay、Sustaine、Releaseのコントロールが可能です。
サウンドのエディットはオシレータとフィルターの調整が重要な要素となりますが、エンベロープもまた飛躍的に音色を変化させることができるので、重要なパラメータの1つです。
MINITAUR EDITORでサウンドを管理
エディットしたサウンドはエディター・ソフトの「MINITAUR EDITOR」にプリセットとして保存でき、呼び出すことが可能です。また保存したプリセットをMINITAUR EDITORから本体へ転送することで、MINITAUR本体へ100個のプリセットを保存することができます。
さらにMINITAUR EDITORには「Under the Hood」画面があり、この画面上ではMINITAUR本体にはないノブとボタンをコントロールすることが可能です。
Moog史上初のコンパクト・サイズのベース・シンセサイザーMINITAUR。ベースはその名の通り、楽曲におけるベースとなり、厚みを表現してくれる大切なパートです。
ソフトシンセで物足りなさを感じているクリエーターには、コストパフォーマンスの視点からもぜひオススメしたい一品です。
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またMINITAUR本体に搭載されているノブやボタンは少なくとてもシンプルなので、シンセサイザーの知識が少いクリエーターの「最初の1台」としてもオススメです!