• このエントリーをはてなブックマークに追加
CULTURE

アインシュタインなどの歴史的人物も虜にしたテルミン。モーグ博士が綴った記事から感じるその偉大さ

世界初の電子楽器テルミンを発明したレオン・テルミン。現在までのシンセサイザーの発展を語る上で彼の果たした役割はとても重要です。Moogの生みの親であるロバート・モーグもテルミンに魅了された一人で、テルミンキットはモーグ博士の最初の発明品であり、彼の電子楽器に対する愛情が表現された初めてのプロダクトでもあります。ここでは、海外メディアCreate Digital Musicに掲載された、ロバート・モーグがレオン・テルミンに会った際に書いたという記事について紹介したいと思います。

leon-theremin-1

出典:Moog

機械的な操作を必要としない楽器として誕生したテルミン

ロバート・モーグはテルミンなどのシンセサイザーの基となった電子楽器について次のように語っています。

「シンセ黎明期のテルミンと、現代のシンセやMIDIの世界との連続性と受け継がれ続けているものは明白です。そこにはオンド・マルトノを開発したモーリス・マルトノ、トラウトニウムを開発したフリードリッヒ・トラウトバイン、ハモンドオルガンの開発者ローレンス・ハモンドの精神が息づいていて、それはオーディエンスの熱狂的な喝采に垣間見ることができると思います。」

leon-theremin-2

テルミンを演奏するロバート・モーグ
出典:Moog

レオン・テルミンは、テルミンの誕生について次のように語っています。

「ロシア革命直後に、そのアイデアを思いつきました。ピアノやチェロ、バイオリンのように、機械的な操作を行う必要のない楽器を発明しようと思ったのです。私は、オーケストラの指揮者のように、機械的なエネルギーを一切使わずに音を奏でる楽器を思いついたのです。」

アインシュタインやレーニンも魅了された発明

ソ連の指導者であったレーニンもまたテルミンの魅力にとりつかれた一人でした。レオン・テルミンの演奏に感激し、自らもテルミンの演奏を楽しみました。また、アルバート・アインシュタインもテルミンの持つ不思議な魅力に興味を持っていました。レオン・テルミンはアインシュタインとの次のようなエピソードを語っています。

「アインシュタインは、音楽と幾何学的な図形との関係性に興味を持っていました。色だけではなく、その多くは、三角形、六角形、七角形といった様々な形の幾何学図形でした。彼は、これらをひとつの図式にまとめたがっていました。そして、これを描くための小さな研究室を私の自宅内に持てるかどうかを聞いてきたのです。」

その後、レオン・テルミンはスターリン体制下で投獄、弾圧を受け苦しい時代を過ごします。そして楽器としてのテルミンも60年代後半には排除されてしまいました。

実現しなかった電子機器の発明家による幻の会合

東西冷戦やソ連の崩壊は電子楽器の世界にも波紋を残しました。95歳になったレオン・テルミンのアメリカ再訪は冷戦時代の終結と彼の発明の歴史を象徴する出来事だったのです。テルミンのアメリカ再訪にはクララ・ロックモアや娘であるナターシャ・テルミンといったテルミニスト達も同行したそうです。

そして再訪時に行われるレオン・テルミンとの会合は、20世紀最大の電子機器発明家たちが集結する場でもありました。そこには、作曲家のジョン・チョーニング、Buchlaシンセサイザーの創業者ドン・ブックラ、世界初のリズムマシン・リンドラムの開発者ロジャー・リン、オーバーハイム・エレクトロニクスの創業者トム・オーバーハイム、コンピュータミュージックの礎を築いたマックス・マシューズ、Prophet-5で知られるDAVE SMITH INSTRUMENTの創業者デイヴ・スミス、そしてロバート・モーグという、錚々たる名前が並んでいました。

残念ながら、歴史のいたずらによりこれらの偉大な発明家が実際に対面することは叶わなかったそうですが、彼らは楽器を通して交流を果たしました。

leon-theremin-2

出典:Moog

この記事からは、テルミンがいかに優れた発明だったかが理解できます。Moogの生みの親ロバート・モーグだけではなく、アインシュタインなどの歴史的人物までをも魅了してしまうとは。しかし、テルミンのスゴさは、現代の楽器やコントローラで採用されているジェスチャー・コントロールを見るとさらに実感できます。1世紀も前に誕生した楽器の操作が、これからのコントロールの主流になるかもしれないという事実には、ただただ驚かされるばかりです。誕生した時点で、電子楽器の未来を提示していたわけで、その先見性から、アインシュタインが注目するのも納得ですね。

Moogのウェブサイトでは、こちらで紹介した記事の全文を読むことができます。英語を理解できる方は、そちらの記事も是非読んでみてください!

Moogのウェブサイトで記事をチェック

引用元:Create Digital Music
トップ画像出典:ウィキメディア・コモンズ

この記事をSNSでシェア!