ガジェット感覚で楽しめる手軽な操作性と、優れたサウンド・クオリティで人気のダンスミュージック・ギアvolcaシリーズに、FM音源を搭載したシンセサイザー『volca fm』が登場しました。根強い人気を誇るFM音源で、どんなプレイができるのか?話題のvolca fmをいじり倒して、その特徴を紹介したいと思います。
名機DX7譲りのきらめくようなサウンド
FM音源とは、Frequency Modulation(周波数変調)を応用する音色合成方式を用いた音源で、アナログシンセでは表現できない複雑な倍音成分を持つ波形を生成することができます。FM音源は、パラメータのコントロールにより倍音成分が変化し、サウンドを劇的に変化させることができますが、その挙動は複雑でサウンド・メイキングが難しいといわれています。
FM音源を世に広めたシンセとして有名なのがYAMAHA DX7です。DX7の複雑な倍音を含んだ金属的でシャープなサウンドは、1980年代当時から現在に至るまで、多くのミュージシャンに愛用されています。このFMシンセの名機DX7のサウンド・エンジンを完璧に再現したのが、volca fmです。
まずは、これぞFM音源といえるベルのサウンドのパラメータをコントロールして、どのようにサウンドを可変させることができるか試してみます。動画ではプリセットのシーケンスを使って、パフォーマンスを行っています。
とても綺麗なサウンドですね。volca fmには、MODULATOR ATTACK & DECAY、CARRIER ATTACK & DECAYなどのサウンドを簡単にエディットできるパラメータが搭載されているので、難しいといわれるFM音源のエディットも簡単です。
直感的なシーケンスが演奏を夢中にさせる
volca fmには、シーケンサーとアルペジエーターが搭載されているので、すぐにパターンを作り出すことができます。シーケンサーには、パラメータのコントロール情報を記録できるモーション・シーケンスや、複雑なシーケンス・パターンを作り出せるアクティブ・ステップなどの機能が搭載されています。ここでは、FM音源の代表的なサウンドのベースを使って、シーケンス機能に迫ってみたいと思います。
volcaシリーズならではのキーボード・ボタンにより、演奏も簡単にできます。アルペジエーターと組み合わせることで、ユニークなパターンを作れそうです。
volca sampleとの同期で変幻自在のライブセットに
volca fmだけでも十分楽しいのですが、やはりビートが欲しくなります。そこで、リズム・トラック用にvolca sampleを使って、volca fmとのライブセットを組んでみました。volcaシリーズには、SYNC IN & OUTが搭載されており、付属のケーブルで接続するだけで、すぐに同期することができます。
動画では、volca fmから新たに搭載されたワープ・アクティブ・ステップ機能を使用してみましたが、曲調がガラリと変わるので、積極的な使用をオススメします。
確かな音質と簡単機能でパフォーマンスが楽しくなる現代のFMシンセ
80年代を魅了したサウンドを現代に甦らせたvolca fm。その透き通るようなクリアなサウンドは、粒がしっかりしていて存在感があります。しかも、わずか9つのパラメータをコントロールするだけで、カオスともいわれるFM音源のエディットを容易に行うことができるので、誰でもサウンド・メイキングに夢中になれます。
直感的に扱えるシーケンサーは、予想を超える効果をもたらしてくれることも多く、複雑なシーケンスの構築に役立ちます。その他のvolcaシリーズと組み合わせてお手軽なライブセットを構築すると、さらにパフォーマンスが楽しくなります。
volca fmの価格は¥18,000(税抜き)とお手頃ですが、実際にプレイしてみると、そのコストパフォーマンスの高さに驚かされます。パフォーマンスが楽しくなるvolca fmは、FMシンセ入門者から上級者までの幅広いクリエイターにオススメできます。ぜひチェックを!