昨年の全世界での音楽業界総売上が2008年以降最高を記録。インディーアーティストによる音楽市場が急成長

英メディア解析会社Midia Researchによると、2017年の音楽卸売売上げ高は、全世界で174億USドル(約1兆9千億円)で、前年比8.5%増加だったそうです。これは、前年に比べて14億ドル(約1,500億円)増加しており、2008年以降最高の売上げとなります。

その内訳を見て驚くのはインディペンデントのアーティストの「自費出版」が占める割合です。アーティストが直接曲を販売できるTunecore、CD Baby、Bandcampなどのサービスの売上は4億7200万ドル(約508億円)となっており、全体の2.7%を占めています。これは前年の3億7100万ドル(約399億円)に比べて27.2%も増加しています。

大手レコード会社の中では、ユニバーサルが市場シェアの1位を獲得。Midia Researchの報告によると、売上は51億6千万ドル(約5,550億円)で、全世界売上げの29.7%(インディペンデント・アーティストを含む)を占めています。

伸び率に関していえば、ワーナーが前年から飛躍し、売上31億3千万ドル(約3,369億円)と、全体の18%を記録しました。ソニーは36億4千万ドル(約3,912億円)で22.1%のシェアを獲得したのに対し、インディペンデント・レーベルは全体で48億ドル(約5,167億円)を売上げ、27.6%のシェアを占めました。

これらの数値は配信サービスでの売上に基づいており、Midia ResearchのMark Mulliganは、英メディアMusic Business Worldwideに対して、次のように語っています。

インディペンデント部門の売上の多くは、大手レコード会社傘下のデジタル配信会社の売上として計上されているため、大手レコード会社の収益として発表しています。

いずれにしろ、2017年のインディペンデント・アーティストとレーベルの収益は、世界全体で53億ドル(約5,705億円)に上り、市場シェア1位のユニバーサル全体の売上げよりもわずかに上回っています。

Mulliganはまた、インディペンデントのアーティストが売上げた4億7200万ドル(約508億円)について、次のように語っています。

これまで、インディペンデントの音楽市場はグローバル市場の売上げなどからは外されていました。しかし、これだけの収益を上げ、急成長を遂げている現在、無視できる状況にはありません。

2017年のストリーミングによる収益は、前年比39%増加で74億ドル(約7,966億円)を売上げ、世界全体の卸売上げ高の43%を占めました。これは、ダウンロードとフィジカルメディアの売上減少による減益分7億8300万ドル(約843億円)を優に上回る数字です。

今回の発表により、世界中でインディペンデント・アーティストが作る曲への需要が高まっていることが理解できます。これは、アーティスト自身が曲の発表と販売が行えるサービスの増加によるものですが、それらのサービスを効率よく利用することで、レーベルに頼ることなく、曲を販売できる新たな時代が到来しているといえます。

また、新たなアーティストとの出会いを求めて、それらのサービスを利用するオーディエンスが増加していくことも予想され、今後もインディペンデント・アーティストが作る曲への注目が高まっていきそうです。音楽販売と購入の新たなスタイルにより、素晴らしい音楽が増えていくことに期待したいですね。