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CULTURE

伝説のシンセ開発者で電子音楽家「Peter Zinovieff」が67年にコンピュータミュージックを演奏する映像

現代のライブパフォーマンスにおいてコンピュータが使われるのは当り前のことですが、今から半世紀近くも前の1967年にコンピュータで楽器を自動演奏させるライブパフォーマンス動画が話題です。パフォーマンスシーンは、2:38あたりからです。

出典:YouTube

この貴重な動画は、イギリスの電子楽器メーカー「Electronic Music Studios(以下EMS)」の創設と開発に携わったPeter Zinovieffについて紹介されたものです。彼は電子音楽家としても著名な人物で、82歳になった現在でも作曲活動を続けていて、先日開催されたモジュラーフェスティバルのトークライブへ出演するために来日したばかりです。

世界で初めて自宅での音楽制作にコンピュータを導入

数学者、原子物理学者としての教養を持つPeter Zinovieffは、1960年代にイギリスの放送局BBCの電子音楽の研究所として設立された「レディオフォニック・ワークショップ」に刺激を受け、音素材を録音したテープをスライスし、それらをつなぎ合わせる手法で音楽を作り始めました。しかし、オープンリールと言うレコーダー用の長いテープを扱う作業効率の悪さから、自身の庭にスタジオを作りコンピュータを導入して音楽制作を行うようになりました。Peter Zinovieffは、自宅にコンピュータを導入して音楽を制作した最初の人物と言われています。まさにDAWのパイオニアと言える存在ですね。作業効率の悪さから、まだ誰も自宅での音楽制作に使ったことのないコンピュータを選択するあたりに、彼の異端っぷりが表れています。

1966~67年のアーリーエレクトロニクスと言われる時代に、Delia Derbyshire、Brian Hodgsonと共に「Unit Delta Plus」を結成しミュージシャンとして本格的な活動をスタートさせたPeter Zinovieffは、Unit Delta Plus解散後もソロとして電子音楽家の道を歩み続けます。シンセサイザーのマッドプロフェッサーとも称される彼は、前衛的な音楽で多くの電子音楽家に影響を与え、最新のテクノロジーを取り入れて今なお進化を続けています。御年82歳という高齢にも関わらず、昨年撮影されたこちらの動画のようにラップトップでライブしている姿は興味深いですね。

出典:YouTube

現代音楽の発展に寄与したシンセメーカー『EMS』

Peter Zinovieffは、1969年にEMSのエンジニアとして創設をサポートし、アナログシンセサイザーの名機として知られる「EMS VCS3」などの開発にも携わりました。EMS VCS3は、現代音楽の発展に寄与したシンセサイザーの一つとして現在も多くのミュージシャンに愛用されています。1960年代から1970年代にかけて開発されたシンセサイザーやオシレーター、フィルターなどのモジュールは非常に高い評価を受け「デビィッド・ボウイ」「ピンク・フロイド」「クラフトワーク」「カールハインツ・シュトックハウゼン」などの著名なアーティストが、その膨大なコレクションを試すためにPeter Zinovieffのスタジオを訪れたと言われています。

出典:YouTube

このように、現代音楽家でありエンジニアでもあるPeter Zinovieffは、多くのアーティストと現代音楽に大きな影響を与えてきました。そして彼の音楽は、彼を慕う現代のアーティストの後押しにより再びスポットライトを浴びています。柔軟で常に新しいものを取り入れる彼の姿勢が、現代のアーティストからもリスペクトを集める要因なのかもしれません。
1965年の初期の実験的作品から彼のスタジオとEMSの運営が終了する1979年までの作品が収められた貴重な音源集「The Electronic Calendar : The EMS Tapes」が、2015年6月22日にイギリスのバンド「Sonic Boom」が主催するレーベルからリリースされます。彼のユニークな世界観を体感できる心地よいコンピュータ・ミュージックを是非チェックしてみてください。

The Electronic Calenda-The EMS Tapesを
チェック

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