ドロップという音楽用語をご存知でしょうか?ドロップとは、トラックが最も盛り上がって曲調が変化するポイントのことで、最近ではダブステップやEDMのトラックには必ずと言っていいほどインパクトの強いドロップが存在します。このトラックのドロップを検出するマニアックなWEBアプリ「Drop Machine」が海外のブログMusic Machineryで紹介され話題となっています。
Drop Machineがどのようにドロップを見つけ出すかというと、Spotifyでトラックの再生位置を移動させると、その操作がログとして記録されます。このログデータを解析すると、リスナーが再生位置を移動させたポイントは、トラックの曲調が変化するポイントと一致するそうで、これは、リスナーがトラックのなかで最も好きな部分を聴くために再生位置を移動していることを現します。みなさんもそういう聴き方したりしますよね?
そして、やはりと言うか、トラックの再生位置の移動が最も集中するポイントと、トラックが最も盛り上がるドロップは一致します。Drop Machineでは、たくさんのリスナーが存在するSpotifyで集積された、このログデータが利用されているんですね。ログデータによるDrop Machineのグラフは、ドロップが分かり易く表示され、グラフのピークがドロップになります。こちらは、Drop MachineでEDMのトラックを解析した動画です。
出典:YouTube
フィル・コリンズの「In The Air Tonight」をDrop Machineで見てみると、3:40辺りがピークになっています。このポイントはドラムが入ってくるところで、In The Air Tonightのドロップと一致しています。
こちらはレッド・ツェッペリンの「Whole Lotta」。3:20辺りでピークを迎えていますが、このポイントはギターソロのパートで、レッド・ツェッペリンのファンのリスニング・ポイントが理解できます。
上記のトラックは、引っ張って引っ張って、なるべく後半で盛り上げるような構成になっていますが、現代のEDMなどのダンスミュージックはどうでしょうか。次のグラフは、Skrillexの「First Of The Year」、The Lonely Islandの「When Will the Bass Drop」、Knife Partyの「Bonfire」のログデータをグラフ化したものです。
どのトラックも1:00辺りにピークがあり、EDMのドロップはかなり前半に訪れるのが分かります。リスナーの行動からトラックの構成が分かるっておもしろいですね。
トラックを波形で見れるようになり、その構成が視覚的に理解できるようになりましたが、Drop Machineはより分かり易くトラックの構成とピークが表示されます。しかも基になているのがリスナーのログデータな訳で、リスナーがトラックのどのポイントを聴きたいのかも理解でき、DJプレイでオーディエンスの期待を裏切ることはなさそうですね。
今のところDrop Machineは、アプリなどでリリースされる予定はないようですが、この技術がDJソフトやアプリに導入されるなんてこともあるかもしれませんね。
画像出典:Music Machinery