多彩なスタイルが存在するテクノの定義と進化の歴史【100% CD HATA視点の音楽史 Vol.9】

soundropeをご覧の皆さん、こんにちは!Dachamboのシンセサイザー担当CD HATAです。このコーナーは「100% CD HATA視点の音楽史」ということで音楽機材や音楽文化に関して、あくまでもCD HATA視点ですが歴史ストーリー仕立てに紐解いていくというコンセプトではじめました。

そこで今回は「テクノの歴史」という壮大かつ奥深いテーマに踏み込んでみようと思います。おそらく一回では語りきれないテーマですので、今回は「その1」ということで、また改めて別の視点から解析していくことになるのではないかと思っています。

CD HATA視点の「テクノ」とは!?

さて、そもそも「テクノ」とは何でしょう?カタカナで「テクノ」とアルファベットで「Techno」でも、指しているニュアンスが違ってくる気がします。一旦、ここでは「テクノ」にポイントを置いて思索してみましょう。

皆さんは「テクノ」と聞いて何を(誰を)思い浮かべますか?“シンセサイザーやドラムマシンなどの電子音が中心となって構成される音楽”ってところまでは、おそらく皆さん共通しているのではないかと思います。人によっては、クラフトワークから始まる~だったり、デトロイトを発祥とする~だったり、「テクノ」と聞いてPerfumeを一番に思い浮かべる人もいるかもしれませんね。

クラフトワークやYMOなどは「テクノポップ」といった方が的確かもしれませんね。Perfumeなども「テクノポップ」の派生と、この際括ってしまいましょう。ちなみにCD HATAはクラフトワークの中では、1973年にリリースされた「Ralf And Florian」が好きです。

「テクノポップ」ではない「テクノ」(それはもうどっちかっていうと「Techno」っていうニュアンスなんですが)の発祥の地は、デトロイトといわれているようで、シカゴで生まれた「ハウス」が…

CD HATA視点「テクノ」と「ハウス」の定義

あっ「テクノ」と「ハウス」って別物なんです。ダンスミュージック、特に4つ打ちが好きな人にとっては、曲を聴いてこれはテクノでこれはハウス、ってわかると思うんだけど(人それぞれの解釈はあるにせよ)、4つ打ちにそこまで深い興味を持ってない人にとっては、キックが4つ鳴ってる音楽だったらどれも似たようなものに聴こえるだろうし、そうなると「テクノ」も「ハウス」(言ってしまえば「トランス」も「ユーロビート」も)同じじゃんって感じるのはわからないでもありません。

例えば同じR&BでもMotownとStaxくらいテクノとハウスも違うんだけど、もしかしたら、4つ打ち好きの人からしたら、MotownもStaxも同じようなソウルミュージックに聴こえるかもだし…

ちょーザックリ「テクノ」と「ハウス」の違いを述べてみちゃうと、例えばリズムのノリでいうと「テクノ」は、わりと機械的イーブンなノリで「ハウス」はハネてる。もうちょい細かくいうと「ハウス」は、2拍目、4拍目にスネアとかクラップとか置くことでバックビートが色濃く出てて、「テクノ」はもっと「ドン ドン ドン ドン」もしくは「ドンツク ドンツク」鳴っている。

メロディーやハーモニーでいうと「ハウス」の方が音楽セオリーにのっとっていて、「テクノ」は作ってる時にわざとスケールアウトさせたりするとそれっぽくなったり、そもそも音程感とか無い方が「テクノ」ぽかったり。もちろんハネてたり奇麗なメロディーのテクノもあるし、テックハウスっていうその中間もあるし。

さっき喩えを出して思ったんだけど、「ソウルミュージック」と「R&B」も違うというか、定義の仕方が違う気がするんだけど、それって「テクノ」と「ハウス」の関係に近いものがあるかも?!というのは、さっき言った「テクノ」と「ハウス」の違いとは、もう一つ違う考え方で、テクノの定義を”シンセサイザーやドラムマシンなどの電子音が中心となって構成される音楽”ってことにすると、その中にハウスも含まれるって考え方もできるんですよね。

テクノって、4つ打ちだけじゃなくてアンビエント・テクノやブレイクビーツなども含めて広義の意味で電子音楽=テクノとして考えるといろいろあるからね。そう考えていくと広義の意味でのテクノを「テクノ」とするならば、「テクノ」と「ハウス」は違うっていう「テクノ」と、これから展開させてく話の「テクノ」は「Techno」って感じ!まぁジャンルわけって難しいけど、ここではあえてCD HATA視点ってことで、そんな定義で引き続きゴリ押ししていきます。

CD HATA視点「Techno」の進化

というわけで、ここからは「Techno」の話ですが、シカゴでハウスが生まれ、その中で「アシッドハウス」というTB-303を使ったウネウネ、ビヨビヨした音楽も生まれてくるんです。

ハウスというのはディスコとかガラージュからの流れがあるので、生演奏やそのネタが主体になっていることが多いと思います。しかし、アシッドハウスはTB-303という機械的な電子音が主体になっているという点で、ハウスからテクノが生まれてくる礎の一つとして解釈してもいいのではないでしょうか。

ハウスとテクノの違いは有機質(生演奏的)と無機質(機械的)って言い表し方もアリですね。そして、アシッドハウスのウネウネ、ビヨビヨな要素はヨーロッパに渡って、トランスのウネウネ、ビヨビヨに発展していくって流れの解釈も音楽史っぽいっすね。

でもって、もう一つシカゴの近くデトロイトでデトロイト・テクノが生まれてきます。ホアン・アトキンス、デリック・メイ、ケヴィン・サンダーソンのいわゆるビルヴィレ・スリー(デトロイト、ビルヴィレ地方のビルヴィレ高校の卒業生みたいね!?)と呼ばれる人達、黒人の機械的で宇宙観もある4つ打ち音楽ですね。

デリック・メイのクニっとした動き素敵!!

出典:YouTube

ちょっと脱線、黒人の宇宙観

そうだ!黒人の宇宙観といえば、何年か前のフジロックでGOLDIEを観たんだけど、俺ぶっちゃけドラムンベースって通ってなくて、その時もEY∃さんとかKEN ISHIIさんとかBRYAN BURTON- LEWISさんとか(あとOrbも出てたかな)の自分の好きな4つ打ちの中でGOLDIEが出てたんだけど、スゲー良くて「黒人の宇宙観ってこういう感じかぁ~!」って気づいたんですよ。

俺ら日本人というかアジア人というかモンゴロイドの宇宙観って、いわゆる亀の上に像がのってて、その上にお盆があって世界と宇宙が広がってる的な宇宙観が根っこにあると思うんです。(だいぶ勝手な解釈ですがw)

白人、アングロサクソンの宇宙観は、もっとアリストテレス的というか?そんなイメージは元々あったんだけど、GOLDIEを聴いて新たに黒人の宇宙観に関してイメージが自分的にできて、どうやら、黒人の宇宙観は、祖先がアフリカから奴隷として連れてこられて的な背景からくる、宇宙人に誘拐されて宇宙に連れてこられた的なものだったり、人類の起源はアフリカ、いやもっといえば宇宙っしょ!みたいなイメージがあるんだなぁと思ったのでした。

英語わかんないから何いってんだかチンプンカンプンだけど、こういう機材使ってるんだぁ。あと、GOLDIE 前歯の金歯が素敵!!

出典:YouTube

ジェフミルズも黒人で宇宙観を色濃く出しているDJですが、ジェフミルズの場合は宇宙観そのものよりも4つ打ちの使い方に自分的には耳がいってしまっていた為、ジェフの宇宙観に気づけなかったんですが、GOLDIEから初めて黒人の宇宙観をイメージすることができました。でも、これは観てみたかったなぁ。

出典:YouTube

でやっぱり、デトロイトから生まれた「Techno」もヨーロッパに渡っていくんです。イギリスのレイヴカルチャー、ベルリンのラブパレードや、TresorやらBerghainのクラブ、あとイビサとか、「Techno」はどんどん広がっていくんですが、もうこの辺は歴史の授業でいうと近代史みたいな感じですね。

といった所で、今回はCD HATA視点のテクノの定義とテクノ発生の歴史っぽい感じになりましたが、次回はもう少しリアルなCD HATA視点で、ワタシとテクノを紐解いていこうと思ってます。今回は、それを語る上でのCD HATA的定義付けくらいな感じです。(そんななんで、良い子のみんなはお外で「テクノ」と「Techno」って違うんだぜ!って言っても「は?」ってなっちゃうと思うから気をつけてね。)

そういった感じで吸収してきたテクノへの回答の一つとして、サイケデリックな宇宙観を含めたハウス要素の薄いテックハウスっぽい感じで出来上がった『Angel Defense』。そのリリースツアーが金沢に続き、北海道、東京、大阪と繰り広げられています。

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先週の北海道 、4/8(金) 苫小牧roots、4/9(土) 岩見沢dopeもいい感じでしたよ!

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そして今週末4/17(日)は東京で行われるんですが、なんとクラブ内でバーベキューをやってしまうという、宇宙的スケールのイベントです。

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詳しくは、Facebookのイベントページでチェックしてみてください。

そして、リリースツアーは、4/28(木)東心斎橋 JAAI、4/30(土)住之江 PEACEと続いていきます。(ちなみに4/28は、CD HATAの誕生日です!)是非是非、歴史的瞬間に立ち会って下さいね。

では、またシーユースーン!

トップ画像出典:Flickr