ビジュアルが液状化するブラウザシンセ。マウス操作だけで音とCGをコントロール可能な「Liquid Entropy」

クリエイティブ・プラットフォーム「Fractal Fantasy」で革新的な作品をリリースするSinjin HawkeとZara Jonesが、音と映像が融合するブラウザシンセ「Liquid Entropy」を公開しました。ブラウザ上(Google Chrome推奨)で楽しめるLiquid Entropyは、ターミネーター2のT-1000が液状化したようなCGをマウスコントロールするだけで、サウンドが生成されます。

ブラウザ上には、ビブラートやリバーブ、ディレイなどが装備されており、これらのパラメータをコントロールすると、サウンドとともにCGも可変します。音楽的な部分をHawkeが担当し、映像的な部分をコンピュテーショナル・デザイン(PCを使って処理、計算、分析を行うこと)のスペシャリストMika Chernovが担当しており、最初のLiquid Entropyは、世界中のアーティストやエンジニアなどが集うカンファレンスLoop 2017で展示(以下の動画を参照)されました。

彼らはLiquid Entropyの構造について、英メディアFact Magazineに対して次のように語っています。

このシンセにはサンプルベースと減算合成の両方の技術が用いられており、基本のボイスは、フィルターやエフェクトが加えられたシンプルなサイン波です。2番目と3番目のボイスはシェパード・トーンと呼ばれる無限音階(人間の聴覚の錯覚により、音程が無限に上昇し続ける様に感じる音)で作られています。また、光彩とシェパード・トーンのコーラスの音量を調整する”gleams”、カオスの量とシェパード・トーンのコーラスの再生速度を調整する”entropy”、マウスの動きに対してブラウザ上の液体(Liquid)がどのように変化するかを設定する”worms”も装備しています。

Liquid Entropyは、物理学で無秩序と乱雑さを表す指標のエントロピーにインスパイアされており、いくつかの変数を一つにまとめた”entropy”パラメータも装備されています。彼らによると、変数が特定の組み合わせに設定されるとボーナスステージが現れ、ワイルドでカオスな内容に変化するそうです。


Liquid Entropyは、iOSとAndroid向けのアプリのリリースを検討中とのこと。彼らは今年の夏にバルセロナで行われるSónar Festivalで、これまでとは全く異なるテルミンスタイルのインストゥルメントを発表予定です。また、Liquid Entropyにはいくつかバリエーションがあるそうで、それらのバージョンもリリースするかもしれないと語っています。

これまでのブラウザアプリとは異なるアプローチで、視覚的にも楽しめるLiquid Entropy。彼らのウェブサイトでは、ブラウザ上で楽しめるその他の作品も公開されているので、ぜひチェックしてみてください。

Fractal Fantasyのウェブサイトをチェック

出典:Fact Magazine