東京を中心に、オルタナからノイズ、果てはアニソンまで、
大友良英
この方の場合、説明はいらないでしょう。NHKの「あまちゃん」の作曲家で、「紅白歌合戦」や「題名のない音楽会」でもノイズサウンドを披露してしまった、あの大友良英です。GROUND ZEROやONJQ、Filamentなどのグループでの活動や、劇伴作曲家としても多くの作品をリリースしています。アヴァンギャルドシーンでも90年代頃から広く活動していて、このシーンでも世界的に非常に有名です。私も個人的に大好きな作曲家の一人です。
出典:YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tYw1h2dGd0s
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bonstar
元「灰汁」の2DJの内の一人で、現在では「gokarts」「二廃人」というユニットでも活動していて、色々なプレイヤーとセッションを重ねているようです。私も何度か共演させてもらいましたが、特筆すべきが機材。タンテx4台+ミキサーx2台&エフェクト類、と多量の機材を扱う様は圧巻です。
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L?K?O
TouTube上に動画が少ないのが残念ですが、L?K?Oもインプロ/即興系を得意とするターンテーブリストの一人。過去には灰野 敬二、ユザーンやooioo、Original Loveなどともセッションを行っているらしい。L?K?Oの優れている部分はクラブDJのもつエンターテインメント性と実験的なセッションプレイ。そういったモノが見事なバランスで同居しており、そのどちらの表現もこの人にしか出せない唯一無二な音楽性を感じとることができる、日本でも数少ないタイプのDJの一人だと思います。
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dj sniff
彼の存在はYouTubeで見て以前から知ってはいたのですが、正直なところ動画を見ても、何をどうやってあの音が出ているのかが全く理解できませんでした。本人と会った際に色々と伺ってみたところ、ソースとなっているのはレコードの音で、それらがMacを通ってプログラミングされたエフェクト?なのか、リアルタイムサンプリング?なのか、恐らくそのような処理が施されたサウンドが出力されている模様。
ちなみに使用しているヴァイナルも拘りまくっていて、小規模ロットのプレス業者に発注しソースとなるオリジナルのレコード盤をわざわざ作って演奏に使用しているとのこと。音もさることながらそのような部分から、初期のヒップホップカルチャーにあった、実験的でアヴァンギャルドな側面を感じることができます。
出典:YouTube
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ロベルト吉野
言わずとしれたサ上とロ吉のロベルト吉野。バトル系のスタイルですが何よりも、メタル/ハードロックに対する深い愛情を感じさせてくれます。もう本気なんです(笑)。一度ご一緒させて頂いた時に生のプレイを拝見したのですが、いわゆるターンテーブリストのルーティンとは破壊力が違います。もちろんミックスやスクラッチ、リズム感などのバトルで培われた技術は超一級なんです。さらにプレイ中に曲を止めて、マイクパフォーマンスもしちゃったりして、とにかく最高です。こういうタイプのDJがもっと増えたらシーンが凄く盛り上がりそうで良いんですけどね(笑)。
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Christian Marclay
アヴァンギャルドなDJといったらもうこの人。私も以前から尊敬してやまないクリスチャン・マークレイ先生です。Wikipediaによると、
クリスチャン・マークレー(Christian Marclay,1955年-)は、現代音楽家、美術家。自らをレコードプレイヤーと名乗る。ターンテーブル演奏のパイオニアである。しかし現代のヒップホップ等のそれとは全く異なっている。
とありますが、この説明書きが既にカッコいいですね。彼の場合はミュージシャンというよりもむしろ現代アーティストと言った方が近いのかもしれません。
その昔、私がノイズ・現代音楽周辺の音源を聴き漁っていた頃に彼の音源と出会い、そのアヴァンギャルドな手法や芸術的な側面もさることながら、とにかくとてもオリジナリティのあるサウンドに心が引かれました。私も実際に真似をして割ったレコードを使ってみたり、レコードの盤面にあえて傷を加えたり、シールでスキップさせてループさせたり、と非常に影響を受けた音楽家の一人です。
PC等を使い様々なアプローチが出来るようになった昨今のDJ/ターンテーブル演奏などと比べてみても、未だ色褪せないオリジナリティを感じさせるサウンドクリエイターの一人だと思います。
出典:YouTube
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最後に、彼らはミックスやスクラッチなどの一般的なDJのアプローチだけに頼る訳ではなく、エフェクターを多用したり、カートリッジやレコード盤を改造したり、リアルタイムでプログラミング制御してみたり、挙句の果てにレコードを割ったり、レコード針が三箇所に搭載された特殊なターンテーブルを使用してみたりと様々な形でオリジナリティの溢れる演奏を魅せてくれます。私の知る限り、そういったパフォーマンスを行う「アヴァンギャルドなターンテーブリスト」は少なく、実際に目にする機会や、メディアに登場する機会もあまりないように思います。是非この機会にそんな特殊なスタイルでパフォーマンスの可能性を追求するミュージシャン達をチェックしてみてください。