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CULTURE

音楽がアルツハイマー型認知症を和らげる?個人的に意味を持つ楽曲が患者とのコミュニケーション方法として期待

音楽がアルツハイマー型認知症患者に役立つ日がくるかもしれません。米メディアDigital Music Newsは、個人にとって何かしら意味を持つ音楽を聴くと、認知症による不安を和らげる効果があるかもしれないという研究結果を紹介しています。この論文はThe Journal of Prevention of Alzheimer’s Diseaseで発表されました。

ユタ大学の研究チームが行った、アルツハイマー病患者に対して音楽が与える影響についての研究によると、「個人的に意味のある」音楽は、病気の影響を受けない特定の部位を活性化することがわかりました。「この部位はまた、アルツハイマー病に影響されることのない、記憶をつかさどる貴重な部位でもあります」と研究チームは話しています。

この研究の筆頭筆者であり、ユタ大学のアルツハイマーケア研究センターの所長も務めるNorman Foster博士は、音楽を「患者とコミュニケーションを取るもう一つの方法」と呼んでいます。

3週間に及ぶ研究は、アルツハイマー型認知症を患っている17人を対象に行われました。介護者の助けを借りて、患者が懐かしく思う曲を選んでもらい、その曲を患者に聴いてもらいました。

そしてMRIで脳をスキャンし、無音の状態と、知っている曲が20秒間流れたあとの状態を比較しました。また、8つの音楽クリップを再生した後に、同じものを逆の順番で再生し、最後には無音の状態にしました。

結果として、患者にとって意味のある曲を聴くことが、さまざまな脳の部位を刺激することがわかりました。具体的に、視覚ネットワーク、実行系ネットワーク、顕著性ネットワークと小脳・小脳皮質ネットワークは、機能的結合に有意に違いが見られたそうです。この研究について、研究論文の第一筆者、Brain Network Labの大学院生であるJace Kingは、次のように語っています。

認知症患者にヘッドフォンをつけて親しみのある音楽をかけると、患者の人たちは生き生きとしてきます。音楽はまるで、患者を現実世界につなぎ留める碇のようです

Foster博士は、音楽がアルツハイマー型認知症患者に与える影響について、次のように述べています。

この研究結果は、アルツハイマー病患者とコミュニケーションを取るためには、個人的に意味を持つ音楽が有効であることを示す客観的証拠です。この病により言語と視覚の記憶は早い段階でダメージを受けますが、個別に作られた音楽プログラムは、特に周りの環境の認知が難しくなっている患者に対して、脳を活性化させるのに力を発揮するのです

研究チームは、今回対象となった患者は一度しかMRI撮影を行っていないことに言及し、この結果を楽観的ながらも慎重に受け止めています。ほかにも、いくつかの疑問が残ります。例えば、得られた効果は一時的なものだったのでしょうか。また、ダメージを受けている記憶や気分をつかさどる部位は、活性化によって長期的に改善されたのかは不明です。

しかし、研究チームは、音楽がアルツハイマー病の進行を遅らせることができると期待しています。共著者のJeff Anderson博士はこう述べています。

現代の社会では、認知症は増加の一途を辿っており、社会にも重い負担がのしかかっています。音楽がアルツハイマー病の治療法になるとは思いませんが、症状を軽くしたり、医療費を抑えて患者のQOL(生活の質)を向上させることができるのではないかと考えています

音楽を聴くだけで、その音楽がリリースされた時代や、曲にまつわる思い出がよみがえることがありますが、 目に見えない音楽は、人の能に記憶とともに深く刻まれているのかもしれませんね。音楽が、アルツハイマー病で苦しむ方々にとって、役立つ日がくることを期待したいですね。

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