Dam-FunkのトラックメイクをAbleton Live使いながら探求する本連載。前回はリズムの諸要素を「マズローの欲求階層」と関連付けてビートを検討するという大きなテーマを扱ったので、今回は軽めの話題、彼の「シンセサイザー」に注目してみたいと思います。
チープなシンセから生まれる印象的なメロディ
彼が主に使用するのは以下3つのシンセサイザーで、アナログ・シンセサイザー2つと、アナログ・モデリングのシンセ1つです。
Roland αJuno-1
出展:Matrixsynth
Roland JX-3P
Korg microKORG
出展:KORG
どれもポリフォニック・シンセですが、廉価版のためにポリフォニック数(同時発音数)は少なく、エフェクト等も充実しているとはいえません。しかし、デトロイト・テクノの面々も当時叩き売りされていた機材を購入してトラックを作っていたことを考えると、ある種ストリート・ミュージックの定番ともいえるのかもしれません。
これらのシンセをキーボード・スタンドに二段積みにして、ベースラインとコードのラインを「同時に手弾き!」というのが彼のスタイルです。圧倒的なグルーヴ感を持つベース・ラインと洗練されたコードワークは、彼のG-Funk系のトラックのレコーディング・ミュージシャンとして活躍していた経験が活かされています。
出典:YouTube
LiveのAnalogでDam-Funkのシンセを再現
では彼のシンセを再現するためにAbleton Liveの最上位版「Suite」に付属するアナログ・モデリング音源「Analog」を使っていきます。プリセットから「Bright1 Buzz Pad」という音色をロードしました。
このプリセットをなるべく参考音源に似るよう、調節を行いました。ポイントは、オクターブ下にスクエア波形を追加して音を分厚くすることです。それからコーラスやEQ、ディレイ加えています。
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さらにシンセの設定だけではなく、「アルペジエイター」を加える事で課題曲と似たような質感を出しています。
アルペジエイターを加える事で、リズムの要素がコードに加えられます。
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これと決めたシンセを使い尽くそう
彼の使っている機材にしても、音色にしても、実は非常にベーシックで素直なもので、それらの機能を完全にマスターし、サウンド・メイキングをしっかり行うことで、自分に必要なサウンドを引き出しているという印象です。
ですから、自分の使うシンセを一台決めて「それを完全に使い尽くすまで取り組む」という姿勢が必要だなと感じました。フィルター、モジュレーション、コーラス。こういった当たり前の機能も、ちょっとした変化でグルーヴが変わってきます。是非みなさんも、これからの梅雨の季節に自宅でじっくりと取り組んでみてください。
それではまた!
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