『100% CD HATA視点の音楽史 Vol.5』観音サウンド 良き音追求の歴史

soundropeをご覧の皆様こんにちは!Dachamboのシンセサイザー担当CD HATAです。Dachamboでのバンド活動と平行してテクノDJ CD HATAとしても活動しているのですが、特にDJの場合、スピーカーから出て来る音質によってそのパファーマンスが非常に左右されます。いい音で鳴っている時は、音の中に自然に吸い込まれていき、プレイしている時に変に力を入れたりしなくてもスムーズに音が流れていきます。そういった音場は、いろいろな要素の絡まり合い方でつくられるのですが、スピーカーはその中でも大事な要素になります。

11月上旬に沖縄で残波JAMというイベントが行われました。三宅洋平氏が中心となり、2011年より読谷村・残波岬にて開催され、今年は場所を沖縄本島北部、名護市にある屋我地島のソルトビーチに移し開催です。

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毎年参加しているのですが、今年もDachamboのライブ、CD HATADJで出演しました。DJをやったBEACH HOUSE STAGEには、観音サウンドのスピーカーが導入されています。

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これまで、観音サウンドのスピーカーは札幌DUCE東京LOUVER四日市Advantageで、音を体験していているのですが、ちょうど今回、この観音サウンドの設計制作をしている山田氏、観音サウンドのプロデューサーそしてオフィシャルDJをしているDJ MASARU氏に、観音サウンドの音が出来上がっていく歴史を聞く機会があったので、その歴史絵巻を紹介致します。

HATA(以下、H)「もともと二人はどうやって知り合ったの?」

MASARU(以下、M)90年代後半のトランスパーティーだったかな?」

H「山田さんも音楽はやってたの?」

山田(以下、Y)「バンドをやっていたんですが、PAもやるようになっていましたね。」

H「なるほど、そこからスピーカーをつくる道へ?」

Y「後に音響会社に勤めることになるんですが、その前に車の会社で働いていました。その会社の師匠がレースチームのメカニックもやっていて、そこで『一から物をつくり出す』ということを学びました。大切なことは、それぞれの部品のポテンシャルをバランス良く引き出すということであったり、機能美としてデザインがきちんとされているものは一つ一つに意味があり、それはスピーカーづくりにも活かされています。」

H「お~!いきなり深い話だ!」

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Y「その後、音響会社に就職し、そこにはレコーディングスタジオもあって、当時はATARIMIDIシーケンサーで打ち込みもやってましたよ。でもある日、耳をとばしてしまったんですよ。その為、レコーディングの細かい音の聞き分けが難しくなってしまいました。クラブにサウンドシステムを持ち込んでセッティングをしたり、チューニングをしてましたが、その方面に力を入れるようになりました。その後独立をし、サウンドシステムの提供や機材修理をしながら電子機器を猛勉強したんです。受注するイベントの規模が大きくなってくるとスピーカーの数が足りなくなることもあり、そこからスピーカーを自作するようになりました。20モデルくらい作ったかな?」

M「ちょうどそのころ、僕はイベントをオーガナイズしていて知人からスピーカーを作っている人がいるって聞いていて知り合ったんじゃない?」

Y「そうですね!ちょうどそのころスピーカーづくりに行き詰まっていたんですよ。試行錯誤はしていたんですが、思ったような音にならず。それまで安いスピーカーばかりをバラして研究していたんですが、思い切って某世界トップクラスのスピーカーを購入し、分解してみるとスピーカーづくりの考え方が180℃変わりましたね。もの凄いノウハウが詰め込まれていて、シェイプに関してもやっぱりハイラインナップの機能美にはちゃんと意味があるんですよね。やはり本物に触れることは本だけでは得られなものがあります。分解して現場で使う時にはまた組み立ててを繰り返し、角度や形の意味の解析に5年かかりました。ただ、それでその某有名スピーカーと同じような音が出るスピーカーをつくるのではなくて、そのスピーカーでは出せない音を追求して、観音サウンドの第一号機をつくりました。言葉にするのは難しいんですが、スピーカーそのものが鳴っているのではなく、スピーカーの奥から音がひろがっていくようなイメージですかね。第一号機は苫小牧Club ROOTSに置いてあります。」

M「観音サウンドは、DJが気持ち良くプレイ出来るサウンドも考えていて、自分や大阪のFULLMOON MONDOさん達など関わって頂いているDJ達と、山田さんの持ってる音響知識とDJの現場知識とを融合させて、より良い音を追求してますね。」

HDJしやすい音って、一番大きいのは音のスピード感?単にリスニングだけだと、ゆっくりめの音でもまろやかで気持ちいいんだけど、実際プレイする場合、あんまりゆっくりだとタイム感がつかみにくかったりしない?」

M「そうだよね。今回はDJブースのモニタースピーカーも観音サウンドのものを持ち込みました。このモニタースピーカーは、その音のスピード感も考えれていてプレイしやすい様に開発したよ。」

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Y「フロアで鳴らすメインスピーカーとDJブースのモニタースピーカーは、違う考え方で同じ答えを導き出しているんですよ。メインスピーカーとモニタースピーカーとでは、ホーンスピーカーとバスレフ型というそれぞれ違う方式なんですが、それでも出てくる音は同じ回答をもった音を目指しています。DJをする上で、フロアで聴こえている音とブースで聴こえている音に差が無いのが理想的ですよね。ただフロアとブースは違う場所なわけですから、それでも差が出ないよう、違う方法論で結果が同じになるように考えています。」

今回の残波JAMで、CD HATAは初日のトリにプレイしました。

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ホント気持ちいい音だった!!!

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M「観音サウンドは、旅するサウンドシステムっていうテーマもあるんだよね。」

Y「今回沖縄にもってきたものは、ゆうパックで送れるギリギリのサイズでつくりました。サイズ的な制限がある中でも、それを感じさせない音を出せていますよ。スピーカーの大きさが小さくなることで失われるパワー感を新しいスーパーウーファーの開発などでカバーしたりして、そういった制限が無くつくったスピーカーから出てくる音にも負けていません。」

H「今後、観音サウンドではどんなことをやっていくの?」

MY「大阪のFULLMOON MONDOさんは、今まで持っていたサウンドシステムを売って観音サウンドを導入し、大阪支部長になってくれているんですけど、富山やニセコにも支部がありますし、そういった支部をどんどん増やしていきたいですね。またルーマニアを足がかりにヨーロッパでも広めていこうと思っています。よかったら観音サウンドのホームページも見て下さい。」

今回、話をしたDJ MASARU氏とCD HATAの共作トラックが、名古屋を拠点とする国内屈指のトランス~チルアウトレーベル Hinowa Recordingsから、12/16(水)にリリースされます。Hinowa Recordingsは、2009年から着実にリリースを重ね、今回でちょうど10作目。

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これまでにも各地から数多くの才能あるアーティストたちを輩出している重要レーベルです。観音サウンド大阪支部の FULLMOON MONDOさんもリミキサーとして参加しています。

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そして、この作品のリミキサーで参加している、Sakiko Osawaさんとは一緒に 12/18() 四日市Advantageに行きます。四日市Advantageには、観音サウンドが導入されているので、是非そのサウンドを聴きに来て下さい。

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良い音で音楽を体感するのは素晴らしい体験だと思います。まだまだサウンドシステム発展の歴史は続いていくことでしょう。みなさんも観音サウンドに出会った際はその良い音に酔いしれてみては如何でしょうか!