ミュージシャンがストリーミングやダウンロードサービスで得る収益を分かり易く表したインフォグラフィックス

ストリーミングやダウンロードサービスにより、音楽のファンは手軽に音楽を手に入れられるようになりましたが、はたしてこれらのサービスによりミュージシャンはどの程度の収益を上げているのでしょうか?
この気になる疑問をテーマに、データジャーナリストで情報デザイナーの David McCandless が行った分析結果を表したインフォグラフィックスが、海外ウェブサイトの Information is Beautiful に掲載されています。

この統計調査は、ダウンロード販売を行うBandcamp、iTunes、Amazon や、ストリーミングサービスを提供する Spotify、Deezer、Apple’s Beats Music、Rhapsody、 YouTube などを対象に行われました。 このインフォグラフィックスは、1アーティストあたりがダウンロードやストリームでどのくらいの収益を上げるのか、またアメリカの月の最低賃金 $1,260を得る為にどのくらいのリスナー数が必要になるかなどを示しています。

howmuch-artists-online出典:Information is Beautiful

インフォグラフィックス右端の「artist revenue」の項目は、レーベルや発行元が1回のストリームでストリーミング会社から受ける平均支払額を薄いピンクの数値で表し、アーティストが1回のストリームで受ける平均支払額を濃いピンクの数値で表しています。
Spotifyの場合、レーベル側が受け取る平均支払額が$0.006~$0.0084で、そのうちのわずか$0.0011がアーティストへの平均支払額であると言うことを示しています。この平均支払額でアメリカの月の最低賃金 $1,260を得る為には、レーベル側は180,000回の再生回数を、アーティスト側は1,117,021回の再生回数が必要になる計算になります。

これらの数値には作詞と作曲に対する印税が含まれていません。また、レコード会社に所属するアーティストは、契約条件により収益に違いがあるので、アーティストごとに達成値が異なると言う点に注意する必要があります。また、ここで示されている数値は平均化されたもので、ストリーミングサービスが発表した数値と必ずしも一致しないようです。

このインフォグラフィックスから、アーティストが、アメリカの月の最低賃金を得るためには相当な再生回数が必要なことが分かります。アーティスト活動だけで生きていくためには、大手レーベルと一流の契約を結ぶか、トラックの販売だけに依存しないライブパフォーマンスなどの収益も重要になりそうです。
逆に、誰でもこのようなサービスを使用してオリジナルのトラックを販売できる時代なので、働きながらでも音楽活動を続けていくことも可能とも言えます。そう考えると、レーベル側の制約に縛られない、自由で本物の音楽が増えていくかもしれませんね。

記事参照:theguardian

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