• このエントリーをはてなブックマークに追加
CULTURE

非日常の音楽 -スイス編-

時と場所、気分によって聴く音楽を選ぶようになったとき、自分が少し大人になったような気がした。寝起きにハードコアパンクを聴くのと60年代ジャズを聴くのだと、1日の始まり方が違う。もちろん、どちらが良いというわけではなく。

208923246_5cb566b934_b

場所によって聴きたい音楽は変わる。それを強く実感したのは、スイスのバーゼルに友人を訪ねたときだった。それもクリスマスのシーズンの真っ只中。街中にキラキラとクリスマスデコレーションがされ、クリスマスマーケットでは、山から下りて来た人たちなどが、手作りのチーズや工芸品などを販売していた。家族や友人同士、それぞれが相手の喜ぶモノを送りあい、カードには相手を思う言葉を綴る。

最近は日本でも、クリスマスを家族と過ごす人が増えたようだ。もともと欧米ではクリスマスは家族、大晦日は友人と過ごすイベントだ。日本人もクリスマスに小慣れてきたのかもしれない。とは言え、やっぱり異文化であるのは変わらず、日本のそれの薄っぺらさへの違和感は拭えない。一方で、スイスのクリスマスは違う。なぜならサンタクロースや神様はいるのかもしれない。などと思わせられる心温まる何かがあったからだ。あれはきっと家族への愛、長い長い年月を重ねてきた人々の祈りだったのかもしれない。

205654762_35c67a766c_b

さて、本題の音楽の話。雪がシンシンと降り積もるクリスマスの夜に、ライン川沿いにある14世紀に建てられた大聖堂へ行ったことがある。スイス人の友人の家族と共に、美しい賛美歌と荘厳なパイプオルガンに素直に酔いしれた。日本での自分にはとても考えられない豊かな時間だった。普段クラシックを聴くことがまだないけれど、こうやってスイスの街並みや文化に自分が溶け込みはじめると、クラシックが心の深くに響いてくる。その自分の変化がとても新鮮で驚きだった。

日本に帰国し、スイスで購入したクラシックのCDを聴いてみると、残念ながら我が家の風景や心境とのずれがある。魔法がとけたような寂しさを感じた瞬間、僕の旅は終わり日常に戻った。

この記事をSNSでシェア!