機械ノイズによる独特なリズム。自作電子音楽家が生み出すインダストリアルなエレクトロニカ

電子音楽家でサウンドアーティスト、そして音楽技術の研究者としての顔も持つMo H. Zareei。mHz名義でリリースするノイジーなエレクトロニカトラックからひと際センスを感じさせる彼は、モーターや駆動装置などの非音楽的な機械を用いた音楽装置を制作し、この装置から発せられる雑音でリズムを生み出し、本来は音楽目的に作られていない機械などを音楽表現のためのツールに変化させます。

出典:vimeo

Mo H. Zareeiが制作した装置は、オープンソースハードウェアのArduinoを用いたカスタムメイドのドライバー・ボードを使って操作されたサウンドと蛍光灯が同期するオーディオビジュアルアート作品です。彼の作品の「Mutor」では、モーターのノイズがサウンドを作り出しています。

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「Rasper」のサウンドは、モーターで回転するプラスチックディスクとバネの摩擦音がベースになっています。

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「Rippler」では、スチール製の薄いシートを使って、機械の作動音を増幅させてリズムを作り出しています。

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こちらは、Mo H. Zareeiの最も新しい作品の「machine brut(e)」です。

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どの作品も、機械が発する雑音をバランスよく配置してグルーヴ感のあるトラックを生み出していますね。サウンドとビジュアル的なシンクは、ライブパフォーマンスとしても楽しめますね。
Mo H. Zareeiは、MIDIコントローラ「mHzKontrol」も自作しています。mHzKontrolは、ジェスチャーコントロールで、エフェクトなどをコントロールでき、トラックをリミックスするような革新的なライブパフォーマンスを可能とします。彼自身のスタイルのエレクトロニカのトラックにはとても相性が良さそうです。

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これらの自作機器を使用して作られたトラックは、ビートのグルーヴとノイズサウンド、これを中和するシンセ音が癖になる良質なトラックばかりです。

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Mo H. Zareeiのように、音楽用途ではない機械や日常品などを自作の装置でコントロールして、トラックを作り出すアーティストが増えているように感じます。Arduinoなどのオープンソースのハードウェアの登場により自作が身近になった現代では、テクノロジーを活用して音楽とミックスさせたメディアアートのようなスタイルが、新たなジャンルとして確立されていくかもしれませんね。

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