コンピュータが90年代を代表するバラードを人間のように感情を込めて歌い上げるシュールな動画

歌は、楽しさや悲しみなどの感情を込めて歌うことでおもいが伝わり、聞き手に感動を与えることができます。このような感情のコントロールは人間ならではのもので、プログラムされたコンピュータが歌っても感情を表現するのは難しいとされてきました。そのような状況のなか、メディアアーティストで科学技術者のマーティン・ベッカーズ氏は、コンピュータが感情を表現できるようなアルゴリズムの開発を行ってきました。

コンピュータの演奏技術は、1951年にマックス・マシューズ氏が音響合成で演奏したものが始まりとされています。マーティン・ベッカース氏はコンピュータの情緒的表現に注目して演奏技術をさらに発展させるプログラムを開発しました。そのプログラムを用いたコンピュータ「What do machines sing of?」は、VOCALOIDのように人が設定したとおりに歌わせるのではなく、コンピュータが感情を表現できるようなアルゴリズムにより、90年代のバラード曲を感動的に歌いあげています。

出典:Vimeo

「What do machines sing of?」は「Super Collider」というフリーのオープンソースで作成されています。今回使用されたアルゴリズムは、人間に似せた感情表現をコンピュータで再現させるのではなく、無機質なマシンの歌声を、抑揚、間合いなどの要素を用いて有機的に表現しています。

「What do machines sing of?」が歌いあげるバラードを聴くと、たしかにVOCALOIDなどとは異なる、より人間的な感情を感じ取ることができます。独特の感性が必要とされるアートにおいてはコンピュータが人間を超えることは難しいかもしれませんが、研究がさらに進むことで、コンピュータが人を感動させること自体はそう遠くない未来に実現するかもしれません。いつか「What do machines sing of?」が歌う、Zapp & RogerのComputer Loveを聴いてみたいですね(笑)。

引用元:MartinBackes