インディーズ・レーベル経営の内情に迫る

流動的な音楽業界の中で、レコード・レーベルは今でも重要な役割を果たしています。素晴らしいアーティストと、より多くのオーディエンスをつなげようと奮闘している優良な3つのインディーズ・レーベルを紹介します。

レーベルを運営するということは、実際どのようなものなのでしょうか?ロンドン、トロント、ベルリンに拠点を置く3つのインディーズ・レーベルの内側を覗いてみましょう。

ABODE RECORDS

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Abode Records オフィス

代表:Jean-Paul Denton
場所:ロンドン
音楽ジャンル:ハウス、テクノ
設立年数:1年7ヶ月
年間リリース数:7 – 10
総リリース数:8タイトル(52曲)
リリースタイプ:シングル、EP
リリースフォーマット:デジタル

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Abode Records スタジオ

ーレーベルを立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?

音楽をもっと早くリリースしたいと思ったからです。いくつかのレーベルに所属していましたが、曲がリリースされるまでに9-10カ月もかかっていました。あとは、良い音楽にホームと呼べるような環境を作りたかったからです。

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The Abode Record コレクション

ーレーベルを運営するうえでの信念を教えてください。

根気強くあることと、自分が手掛けた音楽を信じることです。

ー最も苦労することは何ですか?

収益を上げることと、注目を集めることです。比較的売れたシングルの場合でも、プロモーション、プレス費用、リミックスに掛かるコストが収益を上回ることもあります。

ーLANDRをどのように活用していますか?

LANDRは全ての段階で使っています。テスト用のデモの調整と、ディストリビューターに送るための最終版のプロモとマスターに使います。

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オフィスからの眺望

ーイチ押しの所属アーティストを3名挙げてください。

Flymo & Replay、 Observants、 XY-Meです。

ABODE RECORDSのFacebookページをチェック

DO RIGHT! MUSIC

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DO RIGHT! MUSIC代表のJohn Kong

代表:John Kong
場所:トロント、カナダ
音楽ジャンル:ジャズからエレクトロニックまでのソウル系ミュージックなら何でも
設立年:2002年設立
年間リリース数:3 – 5アルバム
総リリース数:65タイトル
リリースタイプ:リリースの多くはアルバム、その他7インチシングル
リリースフォーマット:レコード、CD、デジタル

ーレーベルを立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?

音楽ですね。レーベルを立ち上げた2002年頃、カナダの音楽といえばインディー・ロックという認識を持つ人が多く居ました。そこで、カナダにはロック以外にもカナディアン・ソウルやファンク、ジャズなど良い音楽があるということを示すためにレーベルを始めようと思いました。その思いは今も変わっていません。

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出荷を待つDo Right! MUSICの作品

ーレーベルを運営するうえでの信念を教えてください。

個人的な投資であると同時にビジネスであるということです。情熱は一番大切ですが、ビジネスの知識が無いと何も起こらずに終わってしまいます。音楽シーンやアーティストを支えることと、収益を上げることのバランスを保つことはとても重要です。

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Do Right! MUSIC オフィス

ー最も苦労することは何ですか?

小さなインディーズ・レーベルなので、ブレイク前のアーティストと契約する場合が多いです。歴史的に、レコード・レーベルはアーティストのキャリアに責任があると考えられていましたが、今は双方に努力が必要なパートナーのような関係になっていると思います。

努力した分だけ返ってくるとはいえ、僕たちの力ではどうしようもない要因もたくさんあり、その時々で対応していくしかない状態です。所属アーティストを信じているので、変わり目の早い音楽業界に順応しながら進んでいきます。

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Do Right! MUSICのリリース作品

ーLANDRをどのように活用していますか?

主にリファレンス・ツールとして使っています。トラックの新しいミックスダウンが届いたら、LANDRで様々なマスタリング・スタイルを試してみて、最終版のマスターを仕上げます。

スタジオでマスタリングするより便利で安く上がるので、LANDRのマスター後に出来上がったリミックスやデジタル・プロモトラックをそのまま配布したこともあります。

ーイチ押しの所属アーティストを3名挙げてください。

Alister Johnson:エレクトロニック・フューチャー・ブーギー・プロデューサー。Larry Heard、John CarpenterやJay Deeを彷彿とさせる先進的な音楽です。

The Soul Motivators:盛り上がること必至のオリジナル楽曲を多数持つトロントの9ピース・ファンクバンドです。

The Cookers Quintet:ジャズ黄金時代のサウンドに通じるオリジナル曲を持つ、パワフルなハード・バップ・クインテットです。

Do Right! MUSICのウェブサイトをチェック

EUN Records

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Christhian aka Figu Ds at EUNオフィス

代表:Christhian Ferrufino aka Figu Ds
場所:ベルリン
音楽スタイル:テクノ、テックハウス
設立年:2012年5月
年間リリース数:12回(1カ月に1リリース)
総リリース数:53タイトル
リリースフォーマット:デジタル(ベルリンのレコードストア向けにレコード・カタログをリリース予定)

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EUNスタジオ – ポッドキャストのレコーディング中

ーレーベルを立ち上げようと思ったきっかけは何ですか?

2011年から2012年頃、Figu Ds名義で多くのインターナショナル・レーベルから音楽を出していました。曲が持つオーディエンスへのメッセージをコントロールできるということは、レーベル同様、アーティストにとって一番大切なことです。

有名じゃなくても本当に才能があるアーティストと仕事をしたかったのです。彼らと一緒にマーケットを開拓して、生計を立てたいという思いがありました。

ーレーベル運営で最も大切にしていることは何ですか?

メッセージをシンプルにすることです。そのためには適切なアイデアや言葉、イメージやコンセプトを見つける必要があり、多くの努力を要します。レーベルにとって、マーケティングは非常に重要なのです。

日々たくさんのアーティストから数えきれないほどの曲がリリースされ、音楽業界は飽和状態にあります。その中で惑わされずに進んでいかなければなりません。

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EUN レコードスタジオ – ライブセットアップ

ー今最も苦労していることは何ですか?そしてその理由とは?

マーケットの変動とリスナー向けの新しいテクノロジーです。ストリーミングサービスはファンにとってはとても良いサービスですが、生活がかかっているアーティストやレーベルにとってはあまり好ましくありません。

CDやレコード、デジタルで音楽を販売するのと、ストリーミングで曲を流すのではロイヤリティーに大きな差があるのは知っての通りです。

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オフィスの外 – S. Bahn Lansberger Alleからの景色

ーLANDRをどのように活用していますか?

LANDRは最終マスターやすべてのプロモ、マンスリー・ポッドキャストに加え、世界の色々な拠点でのレコーディングにも使っています。LANDRは迅速で有用、タイミングと精度の点についても効率的です。締切が厳密な業界なので、時間の節約につながるツールはとても重宝します。

ファイナルリリースを手早くマスタリングできるため、デストリビューターにも期日通りに渡せてとても助かっています。

ーイチ押しの所属アーティストを3名挙げてください。

Figu Ds – オールド・スクールとコンテンポラリーなテクノサウンドが特徴的です。

Tim Jackman  – 今年一緒に仕事をしている、若くて才能のあるアーティストです。彼のEPは、素晴らしい作品です。

Rick Dyno – 過去作品の全てが秀逸で、良い仕事をする最高のコラボレーターです。

EUN Recordsのウェブサイトをチェック

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ライター:Tasha Anestopoulos
記事ソース:LANDR