あなたの楽曲をブラッシュアップ!誰でもわかるミキシング入門

ミックスってそもそも何?

ミックスとは、複数のトラックを一つに混ぜることをいいます。トラックはイコライザーやコンプレッサー、リバーブなどの処理を経て、混ぜられていきます。

ミックスで目指すべきゴールは、音量や定位、エフェクト(コーラス、リバーブ、ディレイなど)を調整し、複数のトラックに対してベストなサウンドを引き出すことです。そして全体のアレンジを彫刻のように削りながら各トラックを関連付けて一体化させていきます。

1つ以上のトラック(ステムとも呼ばれます)で構成されているマルチトラック・レコーディングでは、そのトラック数に正解も間違いもありません。マルチトラックレコーディングの最終的な出力形態は「ミックスダウン」と呼ばれます。

ミックスダウンはマスタリング前の最終ステップになります。 マイクやプリアンプを使った録音トラックでも、サンプルを使ったトラックでも、ミックスの方法を学ぶことは極めて重要です。芸術的かつクリエイティブなビジョンを自在にコントロールすることで、音楽は1つ上のレベルに達することができます。まずは基本のTipsから始めてみましょう。これだけで作品の品質が大きく向上するはずです。

ミックスにオススメのDAW

DAWにはたくさんの種類が存在します。人によってベストなDAWは異なりますが、中でもオススメのDAWとして次のようなものがあります。

  • SONAR
  • Adobe Audition
  • Logic
  • Cubase
  • Pro Tools
  • Bitwig Studio
  • Ableton Live
  • FL Studio
  • Reaper
  • Studio One

ミックスセッションのセットアップ

ほとんどのDAWはテンプレート機能を持っています。 例えば、Pro Tools の「Rock」テンプレートなら次のトラックを提供してくれます。

ドラム / ベース / オルガン / ギター / レコーディング用の空のオーディオトラック / クリック / ヘッドフォン / リバーブ・リターン / ディレイ・リターン / コーラス・リターン / 3:42から始まるギターソロ

これは基本的なバンドミックス用テンプレートですが、他にも幾つか用意されています。必要なものが見つからなければ作ってみましょう。自分自身のミックススタイルを作る上で、テンプレート作成は大きな一歩であり、PCを起動してまっさらな状態からミックスを始めるような作業工程にはとても有意義です。

トラックに「名前」をつける

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これは重要な工程です。3ヶ月も経てば3つ目のシェイカーが、どれなのかを思い出せなくなってしまいます。例えば、リードギターを録音する場合にはそのトラックに「Lead Guitar」と名前を付けてください。わかりづらい名前を付けてしまうと、結果として余計な時間を消費することになります。

トラックに「色」をつける

視認性を高めるために、トラックに色付けしましょう。例えば、ドラムトラックを黄色に、ボーカルトラックを青に、ギタートラックを緑にというように、各パートごとに色分けすることで、作業効率が上がります。

基本的なミックスワークフロー

ミックスの基本とは? 他のプロセスと同じように、あらゆる人があらゆる見解を持っています。しかし、何が正しくて何が間違いかは、誰にもわかりません。それでも基本的な部分についてはしっかり押さえておくべきです。

ミックス作業のためのミックス

実はミックスの前にもミックス作業が存在します。どういうことでしょう? そのトラックに求めるメインのテクスチャー(質感)を考えてみます。どのような空間を作りたいのか?パンチがあって目立つもの、あるいは距離があってリバーブ感があるもの?レコーディングの初期段階から、欲しいサウンドのキャラクターを理解しておきましょう。

最初のサウンドを選ぶ段階で、すでにその音の全体像を考えておくことが必要です。 あまり多くの処理を施さず、なるべくオリジナルの音を大切にしてください。最終ミックスの時も、「最初の感覚」を忘れてはいけません。当初に思い描いたサウンドイメージを大切に。その後のミックス工程で迷いはじめると、エンドレスな微調整作業にハマってしまいます。

各パートごとにまとめよう

黄色いスクールバスにたくさんのサウンドが乗車していると想像してみてください。これがミックスにおけるバスのイメージです。複数のサウンドを1つのトラック(バス)に送ることで、同じエフェクト処理を施すことができます。ドラムが乗車したバスでは、複数のドラムサウンドを1つのユニットとしてまとめることができます。

例えば、同じリバーブ量を適用するとそれらのサウンドを同じ空間に存在させることができます。あるいはディレイやコンプレッサーを加えることも可能です。それぞれのサウンドをあらゆるバスにまとめて実験してみると、得られるものがたくさんあります。

音量バランスの調整

散髪のように、トラックのバランスを整えます。あるいは思い切ってバッサリとカットしても構いません。ドラムを1小節分削除してみたり、サビをボーカルだけにしてみたり。思い切り自由に調整してください。エフェクト処理でごちゃごちゃする前に、まずはきちんと基本バランスを整えておくことが大切です。後々の処理でクリップ(音割れ)しないようにする目的もあります。

「最終ゴール」をイメージしながら全てのトラックを調整します。各トラックが最終的にどのようにまとまるのか、大まかで良いのでアイデアを持つことが、ミックス作業を円滑にしてくれます。

パンニングの調整

パンニングとはミックスの「幅」、つまりステレオ音像の左から右までの広さのことです。パンニングにより音をミックス内の適切なポジションに配置させることができます。ステレオの中心から左、または右へ。ベースやバスドラム(キック)などの低音は、なるべく中央に配置して、そこを中心に作業します。全ての音が真ん中に位置していると、ごちゃごちゃと混雑した、のっぺりしたサウンドになってしまいます。

オーディオ・プロセッシング

ミックス作業は大きく分けて、EQ作業、コンプレッション作業、リバーブ作業の3つに分けられます。これらがミックス全体の90%を占めています。これらはミックスの中でも骨の折れる作業ですが、ここがミックスの面白さ。この行程により、残りの全てが決まるといっても過言ではありません。

EQとは?

どのような音も周波数で構成されています。周波数はヘルツ(Hz)で表されます。EQ(イコライジング)作業とはミックス内で音の周波数を増幅したり、カットしたりしてバランスを取り、欲しいサウンド得ることをいいます。バリーホワイトのように周波数スペクトラムのボトムに思いを馳せたり、マライヤキャリーのようにトップに配慮したり。高域、中域、低域という言葉を聞いたことがあるかと思います。

ベース楽器はとてもヘビーに響く低域を持っており、周波数スペクトラムでも、そのほとんどが低い帯域に現れます。また、スネアやハイハットなどの金属的な音は中域や高域に現れます。これらの音をそれぞれ高域や低域のサウンドとしてカテゴライズしたとしても、実際には高域と低域の両方に特徴的なキャラクターを持っています。ミックス作業中もこのことを忘れないようにしてください。

まずはフィルターから始めてみる

フィルターは外科手術のような緻密さで周波数をカットしてくれます。EQツールを使い始めるなら、まずはハイパスフィルターやローパスフィルターから始めてみることをオススメします。これらのフィルターは、まるでジェットコースターのように上下に動き、高域から低域までの取り出したい音の成分だけを取り出してくれます。

もちろん加工前の音は残ったままです。全てのトラックに対して慎重に、注意深く作業してください。例えば、ドラムのタムはローズピアノとはまったく違うEQ処理が必要です。勉強のためにもトラックを聴き込んで、どのような調整が必要なのかをよく考えてみてください。

「失敗した唯一の原因は、実験を避けたことだった。」

EQで削って良い部分を引き出す

楽曲を彫刻してみましょう。他のトラックを考慮してそれぞれの周波数を補正していく作業で、全ての音が少しずつ仲良くなり始めます。それぞれの良い部分を引き出すことで、より素晴らしい音が出来上がります。EQで「削る」ということは、周波数の良い部分を「引き出す」ことです。あまり考え込まず試してみてください。そうすれば全てのトラックが調和し始めることに気付くはずです。特定の音をソロで聴くと物足りなさを感じるかもしれませんが、ミックスの中ではしっかりと鳴ってくれます。

楽曲を小説だと考えてみてください。全てのトラックがメインキャラクターにはなれません。ストーリーを完成させるためには脇役も必要なのです。彫刻作業を通じて徐々にキャラクターが見えてきます。例えば、EQで無駄なローエンドを削ることで、むしろキックやベースが存在感を現してきます。

同じ周波数帯で競合している音はないですか?例えばボーカルとシンセなど。片方ではある周波数をカットし、もう片方では増幅させることで、それぞれの音に居場所を確保することができます。

複数のEQを組み合わせて音をデザインする

イコライジング作業の中の最終工程にして最もクリエイティブなステージ。トラックを自分が聴きたい音にデザインしましょう。トラックに個性を与え、着飾ってください。イコライザーは強力です。ボーカルを目立たせたり、キックを強調したり、スネアで暴れてみたり。またはハートフルなシンセサイザーのフレーズをもっと心に響かせたり。

さらにいくつかの異なるEQを試してみてください。2つや3つのEQを続けて配置してみるのも良い方法です。ある特定の帯域には良い効果をもたらしてくれるEQでも、他の帯域では違うかもしれません。幾つかのEQをつないで最高の音を生み出してください。間違いなどありません。

ダイナミクスって何?

ダイナミクスとは、音の最も大きい部分と最も小さい部分の間の空間を指します。この空間はダイナミクスレンジと表現されます。この定義は楽曲全体にも、特定のサウンドそのものにも適用されます。

力強いダイナミックなサウンドには、小さな音と大きな音の間に広いレンジがあります。例えばスネアを叩いた時の音をイメージしてください。いきなり音量のピークが来ますが、それはあっという間に消えてしまいます。こういった音は「ダイナミックレンジが広い」といえます。一方オルガンは、鍵盤を押してから離すまで同じ音量を維持します。これは「ダイナミックレンジが狭い」といえます。音そのものだけでなく、ダイナミクスは楽曲全体にも存在します。

簡単な例としては、歌手が歌の導入部では小さな声で歌い始め、サビで力強く歌う場合などです。マライヤキャリーの楽曲では、ボーカルの小さな部分と大きな部分の幅は20dB前後です。これは他のトラック、特にオルガンのような「ダイナミックではない音」などとバランスを取ることを考えると大きな数値です。

実はこのような力強くダイナミックな音の変化は、ミックス内の各トラックをひとつに調和させるのを困難にしてしまいます。ここで登場するのが、コンプレッサーです。

コンプレッションって何?

コンプレッションとはダイナミックレンジに一定の制限を加えるプロセスです。どのくらい周波数を通すかのリミットを設定することができます。音の静かな部分を大きくし、うるさい部分を小さくするので、一貫性のあるバランスの取れたサウンドを作ることができます。

コンプレッサーは、騒々しい子供を静かにさせ、引っ込み思案な子供を元気にしてくれる、優秀な託児所スタッフのような存在です。コンプレッサーの仕事量は「レシオ」という値で決まります。大きいレシオ値ほどダイナミックレンジに多く影響を与えます。でもなぜそんなことが必要なのでしょうか?

ダイナミックレンジってそもそも良いものではなかったのですか? はい、もちろんダイナミクスは大事なものです。でもミックスの中で一貫した音量を得たい場合はどうでしょう。もし何かがあまりにもうるさい場合、そこだけ妙に目立ってしまいます。逆にあまりに静かすぎるとミックス内で見失われます。コンプレッションの最適なバランスを見つけるのは、もはや聴きながら学習するアートのようなものです。

ではこれは、DAW で音量フェーダーを調整するのとは違うのでしょうか? 同じことではありますが、「自動的に処理される」のが違いです。ただ夢中になる前に注意があります。コンプレッサーの掛け過ぎはとても危険です。コンプレッサーだけでミックス内の音量レベルを調整してしまうと、生気がなく、活気もない、冷めたミックスになります。それだけは避けたいですよね。 最高の結果のためには、コンプレッサーとボリューム(ゲイン)の両方を使いましょう。

コンプレッション前
コンプレッション後

リバーブって何?

リバーブレーションとは、音の反響のことです。全ての音は他の何かの反響ともいえます。ミックス作業では、あなた自身が残響をコントロールできます。リバーブを制して2つのゴールを達成しましょう。

人工的なリバーブ

リバーブを特殊効果として使う分にはもう何でもあり。シンプルに使うだけで音をかっこよくしてくれますし、ミックス内にユニークな光を灯してくれます。人工的なリバーブは現実世界ではあり得ない効果を実現してくれます。リバーブ成分のコントロールは苦手かもしれませんが、簡単です。好きな音が見つかるまでプリセットを活用しましょう。良い音が見つかったら好きなように微調整すれば良いのです。

リバーブバスをセットアップした話を覚えていますか? EQで音を彫りましょう。リバーブの高域や低域を取り除いても他の成分を壊すことはありません。リバーブバスを最大にして印象的なマラカスを隠すなんてもったいないですよね。リバーブの前段にEQを設置して実験してみてください。つまりリバーブに入る前の音をEQするということです。あるいはリバーブの後にEQを置いてみても良いですね。とにかく何でもありです。どちらにしても興味深い結果が得られるはずです。

現実的なリバーブ

近くに教会はないけど、楽曲を教会で鳴らしてみたい?それならリバーブで実現しましょう。リバーブを利用してリアルなアコースティック空間を作ることができます。ミックスに3次元の感覚を追加するのです。分離していた楽器のトラックでも構いません。同じ部屋で一緒に演奏してみてください。

リバーブを単に特殊効果として使用するのと比べ、もっと繊細なテクニックが必要になります。ここまでこの記事を読み、取得した技術でプロミックスの手応えを試す時です。リバーブ内(または DAW 内)の「Small Room」や「Ambiance」などのプリセットから始めてみましょう。

重要:

「Early Reflection」と「Late Reflection」のバランスに特に注意してください。そして常に触って遊ぶことを忘れずに。いじり倒すことで、それらのパラメーターがどのようにサウンドに作用するのかを理解することができます。

楽曲の全体像

全ての作業は、頭の中に描かれた全体像を元に行われるべきだということを忘れないでください。そのトラックで何をしようとしたのかを明確にし、頻繁に参照してください。ポストミックスのマスタリング作業のために、まずはミックスダウンを最適化することが必要です。完璧な楽曲を思い描きながらミックスすることこそ、完璧な楽曲を得る唯一の道なのです。

ミキシングの確認方法

ここまでスムーズにミックスは出来ましたか?ところで、これまでずっとぼんやりと考えていたことがあるかと思います。ミックスが順調かどうかはどうやって判断するの? 他の優れた楽曲のサウンドと比べても遜色ないか?全ての音が綺麗に並んでくれているか? そんな時はリファレンス曲を用意しましょう。

いくつかの方法があります: ローリングストーンズが好きなら「Street Fighting Man」をトラック1に挿入して作業してみてください。あなたのキックサウンドは彼らの音にフィットしていますか?あなたのギターカッティングはキースリチャーズのように聴こえていますか?

ミックスプロセス中でも頻繁にトラックをエクスポートしてLANDRに通してみましょう。どの音が良く鳴り、どの音が手直しが必要か。それらを見極めながらミックスに戻って修正する。最後の10%の作業が、実は90%の作業だともいわれています。LANDRを有効に活用してクリエイティビティーを維持してください。マスタリングした音があって初めて「完成」にたどり着くのです。

作業を繰り返して正しいミックスを見つける

これら全ての作業プロセスは一度に済ませられるものではありません。小さな調整を繰り返し繰り返し施していく必要があります。全てが上手く行くまで、微調整の度にボロボロに崩れてしまうかもしれません。ミックス作業とは「泡立てて」、そして「すすいで」を何度も繰り返すようなものです。泡だらけになりながらひたすら諦めず完全なミックスを目指してください。

従来のミックステクニックに逆らえ

ミックスは一夜にして学習できるものではありません。それはノウハウであり、あるいは直感であり、そして冒険でもあります。「こうしなさい」的な乾いた、古くさいガイドをそのまま取り入れて時間を無駄にしないでください。もしオーボエにフランジャーを加えたいなら、そうすれば良いのです!

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引用元:Landr