ノイズの軽減に効果あり!「バランス接続」と「アンバランス接続」の違いとは?〜エフェクターの基礎知識Vol.2

楽器などの接続に欠かせないものと言えばオーディオ・ケーブルですね。このケーブルの端子にはいくつかのタイプがあることはお分かりかと思います。もちろんエフェクターの接続にもオーディオ・ケーブルが必要となりますが、意外と知られていないのが、バランス接続とアンバランス接続の違いについて。今回は、ご使用の機材に最適なオーディオ・ケーブルを選んでいただきたいと思い、バランス接続とアンバランス接続の違いについて紹介したいと思います。まずは、音楽制作で一般的に使用される端子を簡単に紹介します。

1. XLR

キャノンとも言われる「XLR端子」は、マイクの接続端子としてよく見かけますね。XLR端子にはオスとメスがあり、それぞれに3つの接点を持っています。この3つの接点は、一般的には1番シールド、2番ホット、3番コールドと異なる音声信号などを伝達する役割を果たしています。

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出典:Neutrik

2. 1/4″フォーン端子

楽器の世界において最も多く使用されているのが、1/4″フォーン端子です。1/4″フォーン端子には、ギターなどで使用されるモノラル・タイプと、ヘッドフォンなどで使用される3点接触のステレオ・タイプがあります。ちなみに1/4″フォーン端子を小さくしたのが、スマートフォンやタブレットのヘッドフォン端子に使われている1/8″ミニプラグです。

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出典:Switchcraft

3. RCAプラグ

一般的に赤白やピンプラグと言われるRCA端子は、テレビなどの家庭用のオーディオ・システムに使用されていて、一般の方にも馴染みのある端子ですね。楽器の世界では主にDJミキサーやターンテーブル、CDJなどのLineレベルの機材に使用されていています。

effector-vol2-2 出典:audio-technica

バランスとアンバランスの違い

ケーブルの接続で、バランス接続とアンバランス接続と言う言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、その違いについて分からない方も多いのではないでしょうか?ギターなどで使用されるモノラルのフォーン端子や、DJ機器に使用されるRCA端子はアンバランスで、フォーン端子は先端部、RCA端子は真ん中の突起部で音声信号の送受信を行っています。フォーン端子の根元の部分や、RCAプラグの回りの部分はシールドと呼ばれ、家電製品などで見られるアースの役目を果たしています。

バランス接続は、通常の音声信号をホットと呼び、逆相の音声信号をコールドと呼びます。位相を反転させた逆相の音声信号を導線で送り、受ける側で再度位相を反転させて基の音声信号と混ぜ、途中でケーブルに入り込んだノイズを最小限に抑えてくれます。

よってバランスとアンバランスの違いは、音質の違いと言うよりは、ノイズに強いか弱いかの違いで、ライブなどの10m以上の長いケーブルを使用してPA機器やレコーディング機器との接続を行う場合に多用されます。長いケーブルを必要としない自宅などの接続では、理論上はアンバランス接続でも問題なしと言うことになりますね。

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バランス接続ではホットとコールドの2種類の音声信号が送られるので、アンバランスに比べてもう1つの導線が必要となります。XLR端子では1番シールド、2番ホット、3番コールドの信号が使用され、ステレオのフォーン端子では、チップ(ホット)、リング(コールド)、スリープ(シールド)が使用されます。ステレオ・フォーン端子は、この頭文字を取ってTRSプラグとも呼ばれ、モノラル・フォーン端子ではリングがないのでTSプラグとも呼ばれます。

バランスとアンバランスの違いについては、ちょっとマニアックなお話ですがお分かり頂けたでしょうか?要は、バランスはノイズに強い、アンバランスはノイズに弱いと言うことです。
ちなみにフォーン端子の場合、信号を送る側の楽器や、信号を受ける側のミキサー、オーディオインターフェイスに搭載されている端子がバランスに対応しているものと、対応していないものがあります。バランス接続に対応していない機器にバランスケーブルを接続してもその効果を得ることはできませんので、ご注意ください。

トップ画像出典:OYAIDE