電子音楽の奇才Matthew Herbertの名曲がタイトルになった音楽マニアにオススメな映画『Cafe De Flore』が公開

2014年のアカデミー賞において3部門を受賞した「ダラス・バイヤーズクラブ」の監督ジャン=マルク・ヴァレの最新作「Cafe De Flore」。この映画は、電子音楽の奇才Matthew Herbertの名曲「Cafe De Flore」がタイトルとなっていて、随所に幅広いジャンルの名曲を使用した、音楽的にも楽しめる作品です。ここでは、この音楽好きにもオススメなCafe De Floreを彩る名曲達と共に映画について紹介します。

この映画では、1969年のパリで障害を抱える息子と肩を寄せ合うように生きてきたシングルマザーで美容師のジャクリーヌと、現代のモントリオールでDJとして活躍し充実した日々を送るアントワーヌの、決して交わることのない2つの時代の人生が交差していきます。

出典:YouTube

この映画のタイトルにもなっているMatthew HerbertのCafe De Floreは、過去と現在の2つの物語が同時進行する作中において、過去の場面では懐かしさの漂うアコーディオンバージョンを、現在の場面ではエレクトリックバージョンを使用し、時を越えて両者をつないでいきます。Cafe De Floreに関して監督のジャン=マルク・ヴァレは「私のお気に入りの曲で、様々なバージョンがあって、聴けば聴くほど心を揺さぶられます。描写的で、メランコリックでどこか物悲しさが漂い非常に美しい旋律を持った曲だと思います。」と絶賛しています。

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イギリスのロックバンドPink Floydの代表的なアルバム「The Dark Side of the Moon」に収録されている「Speak To Me」、「Breathe」は映画全体を通して使用されていて、主人公たちに訪れる不穏な空気や虚無感をより一層あおります。

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80年代を代表するUKニューウェーブ・バンドThe Cureのアルバムの最高峰の一つに数えられる「Disintegration」に収録された「Pictures of You」も作品に彩りを添えています。この曲は、ボーカルのRobert Smithの自宅が火事になった際に、焼け跡から妻の写真を見つけたことにインスパイアされて作られた曲で、本作でも家族の絆を描く重要な場面に使用されています。

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アメリカのインダストリアル・ロックバンド、NIN(ナイン・インチ・ネイルズ)のアルバム「The Slip」に収録されている「Corona Radiata」は、登場人物の矛盾や脳内の悲鳴のような不協和音として映画とマッチしています。メンバーのTrent Reznorは、デヴィット・フィンチャー監督の「ソーシャル・ネットワーク」、「ドラゴン・タトゥーの女」、「ゴーン・ガール」と立て続けに音楽を担当していて、「ソーシャル・ネットワーク」ではオスカーを受賞しています。

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こうして見ると時代を超えた名曲が随所に使用されていることが分かりますが、その中でもMatthew Herbertのトラックをタイトルに持ってくるあたりに、監督ジャン=マルク・ヴァレの音楽への造詣の深さを感じますね。
映画Cafe De Floreは、3/28日の東京を皮切りに全国で公開予定です。興味がある方はぜひ映画館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

Cafe De Floreの公式サイトで詳細をチェック