謎だらけの資格?!Abletonが認定トレーナーを募集中:応募は5/6まで延長

皆さんの中でAbleton Liveのチュートリアル動画を見たことがあるという方も多いのではないでしょうか?このチュートリアル動画を見ているとついついLiveの画面に意識がいってしまいますが、出演している人たちの多くはAbleton認定トレーナーです。なかでも有名なのはニュージーランドのTom Cosm、アメリカのAfroDJMacIsaac Cotecなどがいます。

また、これらの認定トレーナーを擁する認定トレーニング提供機関もアメリカのBerklee OnlineやDubspot(経営陣が変わって認定機関ではなくなったようです)、イギリスのPoint Blank Music Schoolなど挙げていけばキリがありません。

僕が認定トレーナーになる前、このチュートリアル動画を見ているうちに彼らについて興味がでてきました。調べてみると、どうやら彼らは各国を周りながら教えたり演奏しながら生活しているようだ…。

そんな自分の知らない世界があることを知り、彼らに興味を持つとともに、日本の音楽教育は何か違うことに気付きました。昔の日本では「スクールに入る人はプロになれない」とまでいわれていたのです。

そして2014年に日本で初めての認定トレーナーの募集がありました。僕も10年以上にわたってLiveをスタジオでも現場でも使っていたので、腕試しにベルリンの社員に見てもらおうと応募したところ、なんと認定されてしまいました。もっとも当時の僕は教育分野に全く興味ありませんでしたが…笑

そのAbleton認定トレーナーですが、Abletonが現在4年ぶりの募集をしています。第一次審査は書類選考で、日本のGW事情を考慮したのか応募の締切が5月6日まで延長されています。僕もこの認定トレーナーに関する質問は結構頻繁に受けるので、この資格は何なのか、認定を受けるとどうなるのか、日本ではあまり知られていないのでここに書こうかと思います。

Ableton認定トレーナーとはどういう資格か?

実はAbleton認定トレーナーになった後でも、なかなかこの質問に対する良い回答が思い浮かびません。ソフトウェアの資格というとMicrosoftやAppleなどにもありますが、Abletonの場合は少し違います。認定されたからといって、就職に役立つ訳でもなく、給料があがることもまずないでしょう。笑

それではAbletonウェブサイトの”認定トレーナーになるには”のページに記載されている、認定トレーナーについての説明文を見てみましょう。

Abletonユーザー・コミュニティが拡大するにつれ、クオリティの高いAbleton Liveトレーニングへの要望が高まり、Ableton公認資格を求める声が寄せられるようになりました。このニーズに応えるため、Abletonによる認定プログラムが2008年にスタートしました。

Abletonユーザー・コミュニティに高水準のトレーニングが提供されるよう、Abletonは、プログラム開始当初から極めて優れた有能なトレーナーを厳選して認定を付与してきました。現在、200名を超えるエデュケーター、個人トレーナー、プロDJ、プロデューサー、エンジニア、ミュージシャン、コンサルタントが、Liveを使用した音楽制作の世界に携わっています。現在、トレーナーの活躍の場は、33カ国、10言語に上ります。(注:執筆時点での認定トレーナーは260名を超え、51 カ国・ 31 言語に広がっている)

認定プログラムでは、トレーナーの人数ではなくクオリティが重視されており、各地域において厳選されたトレーナーと教育機関のみ認定が付与されます。そのため、トレーニング受講希望者は、認定トレーナーが優れた指導技術とプラットフォーム技能の両方を備えた指導者であることをあらかじめ知ることができ、安心して指導を受けられます。

ここから読み取れることは、認定トレーナーが「現在、200名を超えるエデュケーター、個人トレーナー、プロDJ、プロデューサー、エンジニア、ミュージシャン、コンサルタント」であることからも、必ずしも講師のための資格という訳ではありません。

また、「認定プログラムでは、トレーナーの人数ではなくクオリティ重視」であることから、一定の点数を超えたら誰でもAbleton認定トレーナーになれるものではなく、また数多くのトレーナーを認定する目的でもないことです。つまり、資格ビジネスの類いではないのです。やっぱりどういう資格かよくわかりませんが、僕は自分の好きなようにやってくれということなんだろうと解釈しています。笑

Ableton認定トレーナーになるとどんなことがあるのか?

Abletonのウェブサイトにはこうあります。

Ableton.comにトレーナーとして登録されます。
トレーニング・イベントのマーケティング支援が受けられます。
Ableton認定トレーナーのオンライン・コミュニティにアクセスできます。
Akai ProおよびNovation、Soundcloud、Gobbler、iZotope、AIAIAI、ADAM Audioのサポートにより便宜が図られます。
Ableton認定トレーナー・ロゴ使用が許可されます。

この中でAbleton認定トレーナーのオンライン・コミュニティーにアクセスできるのは大きなメリットです。悲しい現実ではありますが、日本はDAW文化に関しては後進国で、現在でもメーカーも製品も大半は海外発の輸入文化です。そのため本場のコミュニティーにアクセスできる機会が得られるのは大きなメリットです。

僕の場合、それまでは日本国内の人と日本語で仕事することがほとんどでしたが、認定トレーナーになった後に急に海外とのやりとりが増えました。日本ではAbleton認定トレーナーの認知度がまだまだ低いのですが、海外では先人達のお陰で高いのです。

当然ほとんどのやりとりは英語になりますが、今は翻訳ツールが充実しているし、そもそも音楽制作に関する用語はカタカナになっているだけのものも多く、単語がわからなくてもニュアンスは汲み取りやすいので、普通の英語より簡単でしょう。僕の英語も日常会話はままならないですが、スタジオ用語はよくわかります。

自分が認定トレーナーであることを最も実感できるのが2015年から開催されているAbleton主催のカンファレンス=Loopでしょう。ここでは様々な国の認定トレーナーが集まるだけあって、お互い認定トレーナーだというだけでいきなり友達モードです。

特に僕が楽しみにしているのは恒例の認定トレーナー・ミートアップ。2016年は20カ国を超える国から60名ほどの認定トレーナーが集まりました。日本にいるとなかなか実感わきませんが、このミートアップにいると自分もAbletonファミリーの一員であることを実感できます。各国の多様な文化に触れられるので、資格とか関係なく貴重な人生経験ができるでしょう。

Ableton認定トレーナーになるには?

さて、この認定トレーナーになるためには3つのステップがあります。素晴らしいことに全て日本語で行われます。

  • 1次審査:書類選考
  • 2次審査:電話面接
  • 実技試験:2日間のトレーナー認定イベント

最初に書類選考にエントリーする必要があり、応募に必要なものは下記の4つです。この締切が5月6日です。

  • 志望動機(1ページ)
  • 履歴書もしくは職務経歴書(1ページ)
  • LiveおよびPushを使った授業計画書(2ページ以内)
  • LiveもしくはPushの使い方を日本語もしくは英語で教えている模様を収めたビデオ(20分以内)のリンク

最終選考の認定イベントは7月に開催される予定で、このイベントで合格した5名だけが認定トレーナーになれるというなんともユニークな資格です。どういう基準で選考しているのか、僕にもさっぱりわかりません。笑

さて、ここまでAbleton認定トレーナーに関することを書いてきました。僕の志望動機が良いかどうかわかりませんが、今はAbleton Meetup Tokyoとか、Ableton関連の仕事などを楽しくやっているので人生どう転ぶかよくわからないものです。そんなAbleton認定トレーナーですが、僕も日本国内の新たなトレーナーの誕生を楽しみにしています。我こそはという方は是非ご応募を!

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